安倍貞任首塚(読み)あべのさだとうくびづか

日本歴史地名大系 「安倍貞任首塚」の解説

安倍貞任首塚
あべのさだとうくびづか

[現在地名]京北町大字下宇津

下宇津しもうつより上世木かみせき(現船井郡日吉町)に至る貞任峠の道端にある小祠。前九年の役で源頼義に滅ぼされた安倍貞任の首塚とされる。歯痛などに霊験ありと信じられて参詣者があるという。

八幡宮略縁起(井川家蔵)によると、源頼義は勅命によって誅伐した安倍貞任の死骸と、生捕りにした弟宗任を連れて上洛する。同書に、

<資料は省略されています>

とあり、七つに切断した貞任の死骸は、首級を貞任峠に、腰・下肢人尾ひとお峠に、肩・胴は粟生谷おうだん高谷たかたにに、手足足手あして山に埋める。この八幡宮略縁起は、筆跡文体などから近世中期の作と推定されるが、おそらく作者である八幡宮神宮寺別当某が、同社の格式を高めようと伝説を作為したものか、また有頭うつ郷がもと貞任の父安倍頼時の領地でその没後源頼義の恩賞地として与えられたと伝えられることや、源義朝などの旧領であったなどのことからこのような伝承が生れたものかと思われるが、確かなことはわからない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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