奴(漢字)

普及版 字通 「奴(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ド・ヌ
[字訓] めしつかい・やっこ・とりこ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
女+(又)(ゆう)。は手。女子を捕らえて奴婢とする意。〔説文〕十二下に「奴婢、皆古の(罪)人(ざいにん)なり」とし、「禮に曰く、其の奴、男子は隷(ざいれい)に入れ、女子は舂(しようかう)に入る」と〔周礼、秋官、司〕の文を引く。舂は女囚を属するところ。〔周礼、秋官〕に罪隷百二十人、蛮隷百二十人、隷百二十人、夷隷百二十人、貉隷百二十人などがあり、犯罪者のほかはおおむね外である。古くは異族の虜囚などを聖所に属して、使役したものであろう。これらを神の徒隷とすることに、宗教的な意味があったものと思われる。

[訓義]
1. めしつかい、やっこ、しもべ。
2. とりこ、虜囚から奴隷となったものが多い。
3. いやしいもの、いやしいものにつけていう。
4. 自ら謙していう。

[古辞書の訓]
和名抄〕奴 豆不(つふね) 〔名義抄〕奴 ツブニ・ヤツコ・ヤツカリ・ツカヒビト 〔字鏡集〕奴 ツカヒビト・ヤツカリ・ヤツコ・ツフネ

[声系]
〔説文〕に奴声として呶・帑・怒・拏・弩など、十一字を収める。孥・駑などは未収

[熟語]
奴役・奴下・奴家・奴官奴畜・奴客奴怯奴狗・奴才・奴子・奴視・奴書・奴卒奴輩・奴婢奴兵・奴僕・奴奴戮奴虜・奴隷
[下接語]
閹奴・下奴・黠奴・官奴・鉗奴・狂奴・奚奴・豪奴・黒奴・私奴・女奴・人奴・奴・徒奴・童奴・僕奴・庸奴・養奴・狸奴・老奴

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報