奥出雲(町)(読み)おくいずも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥出雲(町)」の意味・わかりやすい解説

奥出雲(町)
おくいずも

島根県南東部、仁多(にた)郡の町。斐伊(ひい)川の上流、中国山地の標高200~700メートルに位置し、鳥取・広島両県に接する。2005年(平成17)横田、仁多の2町が合併、奥出雲町となった。JR木次(きすき)線、国道314号、432号が通じる。米作が盛んで、全国ブランド「仁多米」を産する。また和牛(仁多牛)飼育でも知られ、その堆肥は米づくりに利用されている。そのほか、キャベツ、ダイコンなどの野菜栽培、ブドウなどの果樹栽培も行われる。2005年には、農業振興のための構造改革特別区域計画「奥出雲来遠(らいおん)の里づくり特区」が認定された。古くは砂鉄採取と、たたら製鉄が盛んに行われていた。現在もその技術が残されていて、たたら角炉伝承館、可部屋(かべや)集成館、奥出雲たたらと刀剣館では、たたら製鉄の歴史や技法を知ることができる。伝統産業として雲州そろばんの生産があるが、そろばんの消費量が減少しているため、銘木工芸品などに生産を広げている。斐伊川は素戔鳴命(すさのおのみこと)の「八岐大蛇(やまたのおろち)」伝説舞台となっていて、その支流大馬木(おおまき)川にある国の名勝天然記念物の鬼の舌震(したぶるい)は県立自然公園になっている。面積368.01平方キロメートル、人口1万1849(2020)。

[編集部]


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