大活字本(読み)ダイカツジボン

デジタル大辞泉 「大活字本」の意味・読み・例文・類語

だいかつじ‐ぼん〔ダイクワツジ‐〕【大活字本】

拡大図書

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大活字本」の意味・わかりやすい解説

大活字本
だいかつじぼん

弱視者(低視力者、高齢者など)にも読みやすいように、文字の大きさや行間等を調整し、大きな活字で組み直した本。大活字図書、大活字版ともいう。一般的な文庫版の文字組は9~10ポイント(1文字約3~3.5ミリメートル角)程度の大きさであるが、大活字本では、12ポイント(同4.2ミリメートル角)~22ポイント(同7.7ミリメートル角)の見やすい書体が採用されている。また、黒の背景白抜き文字を使うことでさらに視認性を高めた白黒反転本や、書籍をリングで綴(と)じ、開いた状態で保ちやすくくふうされた本もある。ジャンルは小説エッセイ辞典地図などがある。一部の出版社では文字の大きさを選んで注文できるオンデマンドブックの販売も行っている。ベストセラーの小説やエッセイなどであれば、比較的多くのタイトルが入手しやすくなっており、大手書店やネット通販で購入できる。ただし、文字が大きいため分冊になっているものがほとんどであり、値段は1タイトル千数百円~3000円ほどと割高である。また、図書館向けのセット販売にしか対応していないものもある。

 障害者や高齢者向けの施設だけでなく、公共図書館で大活字本の個人貸し出しを実施するところが増えており、日本図書館協会の2010年度(平成22)の「図書館利用に障害のある人へのサービス」全国調査報告書によれば、障害者サービスを実施している全国1503の公共図書館のうち、大活字本を備えている公共図書館は519館で、所蔵冊数は合計26万6632冊に上る。さらに、大活字本の図書館相互貸借に対応している図書館は、1998年(平成10)には8館であったが、2010年には994館に増加した。大活字本の普及を目ざすNPO法人大活字文化普及協会が、東京都千代田区神田神保(じんぼう)町に大活字本専門書店を開いた。同協会はネットでの販売も行っている。

[編集部]

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図書館情報学用語辞典 第5版 「大活字本」の解説

大活字本

弱視者用に大きな活字で印刷された図書.大型活字本ともいう.実際には,印刷方式にかかわらず,文字の大きな図書の総称としても用いられる.具体的には,〈1〉大きな活字で版を組み直す,〈2〉原本を電子式複写機などで拡大する,〈3〉手書きやコンピュータを用いて拡大写本を作成する,などの方法で作成される.〈1〉によるものが弱視者にとっては最も読みやすいといわれている.日本では1996(平成8)年に,大活字本の専門出版社として株式会社大活字が設立された.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報