変動費(読み)へんどうひ(英語表記)variable cost

翻訳|variable cost

精選版 日本国語大辞典 「変動費」の意味・読み・例文・類語

へんどう‐ひ【変動費】

〘名〙 生産コストうち一定生産能力もとで、操業度の変動に応じて一定期間における総額が増減する費用。直接材料費超過勤務手当燃料費・水道料など。可変費用

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デジタル大辞泉 「変動費」の意味・読み・例文・類語

へんどう‐ひ【変動費】

生産量売上高に応じて増減する費用。直接原材料費・外注費・荷造運賃など。変動費用可変費用。→固定費

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「変動費」の意味・わかりやすい解説

変動費
へんどうひ
variable cost

一定の経営規模のなかでの活動水準、たとえば生産量や作業時間などを操業度というが、この操業度の変化に対応して金額の変動する原価要素を変動費という。固定費に対立する概念である。変動費は、操業度に対して比例的に変動する比例費、逓減(ていげん)的に変動する逓減費、逓増的に変動する逓増費に分類しうるが、狭義には比例費の意味に用いるのが一般的である。変動費の典型的な例としては、直接原材料費、時間給制の場合の直接賃金、外注加工賃などがあるが、これを販売活動まで広げれば、販売量とともに変化する販売員手数料、旅費交通費、荷造運賃なども含まれる。1970年ころから、原価の本質的な発生源泉に注目した原価概念が重視され、変動費をアクティビティ・コストactivity costとよぶことも多くなってきている。変動費と固定費の概念は、損益分岐点分析や直接原価計算を利用した利益計画にとってきわめて重要である。

[東海幹夫]

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人材マネジメント用語集 「変動費」の解説

変動費

・variable costs
・事業の操業度や売上高の変動に連動する変動的に発生する一定のコストのこと。
・変動費の具体例としては材料費、運送費、販売手数料などが挙げられる。
・変動費を把握する目的は、経営計画事業計画等の立案時に必要となる収益シミュレーションを行うためである。
・売上の予測に対して利益がどれだけ発生するかをシミュレーションするには変動費以外に、事業の業度や売上の変動に連動しない固定費も把握する必要がある。
・尚、コストを固定費か変動費かを分類するには回帰分析などが用いられる。

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化学辞典 第2版 「変動費」の解説

変動費
ヘンドウヒ
variable cost

工場単位・設備単位でみると,生産数量に伴って変化する費用項目であり,原材料,電力,蒸気,用水,熱(燃料),労務などが相当する.これらは製造原価を構成する費用項目のうち,生産数量に比例する項目となる.これに対して,工場単位・設備単位でみると,設備の減価償却費などは生産数量によらず一定であり,固定費という.[別用語参照]原単位

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流通用語辞典 「変動費」の解説

変動費

生産量・販売量の変動にともなって変化する費用のことで、可変費ともいう。例としては原材料費、売上原価、販売手数料などがあるが、生産量・販売量の変化に対して比例あるいは逓増(減)関係にあるものを規則的変動費、飛躍的な変動をするものを不規則的変動費という。売上高に対する変動費の比率を売上高変動費比率といい、また、売上高から変動費を差し引いたものを限界利益という。

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株式公開用語辞典 「変動費」の解説

変動費

企業が継続して活動していくために、売上高に比例して増えていく費用のこと。 具体的には原材料費、外注加工費、販売手数料等がある。一方、売上高に関係なく発生する費用を固定費という。費用を固定費、変動費に分類することにより、利益を上げるために必要な売上高である損益分岐点売上高を算出することができる。

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会計用語キーワード辞典 「変動費」の解説

変動費

変動費とは販売量または生産量に対して比例的に増減する原価要素のこと。変動費+固定費=総原価となる。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「変動費」の解説

変動費

生産高や売上高に比例して発生する費用で、中心となるのは原材料の仕入費用や外注費用など。

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世界大百科事典(旧版)内の変動費の言及

【経費】より

…間接経費は,間接材料費(製造に費やされるが特定の製品との関係を明確に後づけることができない材料費),間接労務費(同様の労務費)とともに製造間接費(〈直接費・間接費〉の項参照)を構成する。また経費は,消費額や発生額を月別に把握する方法の相違により,(1)減価償却費や賃借料のように数ヵ月分を一括して計算ないし支払った額をもとにして把握する月割経費,(2)電力料や水道料のようにメーターで消費額を測定して把握する測定経費,(3)外注加工費や支払運賃のように支払伝票などの証憑(しようひよう)書類で発生額を把握する支払経費,(4)棚卸減耗損,仕損費(仕損品が発生した場合の原価)のように必ず発生するとは限らないが発生の際にその事実に基づいて把握する発生経費,に分類されたり,あるいは操業度との関連で,その変動に応じて変化する変動経費(変動費)と変化しない固定経費(固定費)に分類されたりする。 以上のように,経費は会計学上,製品の製造原価を構成する原価要素の一種を意味するのが普通であるが,時により,単に製造間接費を意味するものとして用いられたり,あるいは製造原価以外の販売費や管理費をも含めたものを意味するように用いられたりすることがある。…

【原価】より

…また原価の実際発生額を責任センター別に集計するだけでは不十分で,あらかじめ科学的に作業の物量標準を定め,それに基づいて原価の達成目標を標準原価として指示しておき,標準原価と実際原価とを比較して差異を計算し,差異の発生原因を管理可能差異と管理不能差異とに分析し,改善策を講ずることが効果的である。
[利益管理用の原価]
 利益管理のためには,原価を営業所や事業部などの利益責任センター別に集計するとともに,原価は製品の売上量の増減に応じて変化する原価(変動費)と変化しない原価(固定費)とに分類し(〈固定費用・可変費用〉の項参照),それらを総合予算の中に組み入れて,責任者別に管理可能費と管理不能費とに区分しなければならない。利益管理のためには,伝統的な原価計算(全部原価計算)よりも直接原価計算のほうが,はるかに有効である。…

【固定費用・可変費用】より

…財やサービスの生産に必要な費用の中身は,大別して固定費用と可変費用(変動費用ともいわれる)とに分けられる。固定費用とは,財・サービスの生産量にかかわりなく,つねに一定額だけは支払わねばならない費用を指す。…

※「変動費」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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