報徳思想(読み)ほうとくしそう

百科事典マイペディア 「報徳思想」の意味・わかりやすい解説

報徳思想【ほうとくしそう】

二宮尊徳の根本思想で,人は天・地・人の徳に報いるために,自ら徳行を実践しなければならないとの考え。財政再建に取り組む上で,経済力に応じた消費支出限度(分度(ぶんど))を守り勤倹節約し,倹約して生まれた余剰を社会公共のために提供する(推譲(すいじょう))生活態度によって,困窮を救うことができると説いた。江戸末期,各地報徳社が生まれ,明治には政府が農政策上で国民教化を企図した報徳会も生まれた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「報徳思想」の意味・わかりやすい解説

報徳思想
ほうとくしそう

二宮尊徳の教説至誠,分度,推譲,勤労によって道徳と経済を一致させ,富国安民をはかろうとする教え,考え方。この思想に基づいて結成された報徳社は,特に明治末年以後の地方改良運動や昭和初年の自力更生運動一翼として民衆思想善導役割を果した。

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世界大百科事典(旧版)内の報徳思想の言及

【二宮尊徳】より

…晩年は日光神領の立直しの命をうけ,得意の計量的,合理的な策を立てたが業半ばに死去した。農村の生産力に応じて分度を定め,勤倹を説き,その結果としての富を推譲(譲り合う)という社会的行為に導く報徳思想を広めた。主著に《三才報徳金毛録》など。…

※「報徳思想」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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