坐摩神社(読み)ざまじんじや

日本歴史地名大系 「坐摩神社」の解説

坐摩神社
ざまじんじや

[現在地名]東区渡辺町

南御堂難波みなみみどうなんば別院の西側に鎮座。「延喜式」神名帳に載る西成にしなり郡の大社「坐摩サカスリノ神社」に比定される(一本の訓は「ヰカスリ」)。旧官幣中社、摂津西成郡一宮であったと伝える。

「延喜式」によれば宮中にも祀られ、「座摩巫祭神五座並大、月次新嘗生井神、福井神社、綱長井神、波比祇神、阿須波神」とあり、この五神を祭神とするが、「古語拾遺」に「坐摩」として「是大宮地之霊、今坐摩巫所斎也」とみえ、大宮の地を守護する大地の神と考えられ、また生井以下三神の神名から井戸の神でもあったと思われる。坐摩の古訓はヰカスリまたはサカスリであるが、「住吉大社神代記」に「猪加志利乃神前二前、一名為婆天利神」とあり、仁徳天皇の世に「吾者住吉大神之御魂曾」という託宣を下したという。呪詛することをカシルというから、呪言を下す神でもあったと思われる。西成郡唯一の式内社で、「新抄格勅符抄」所収の大同元年(八〇六)牒には、「坐摩神、二戸津国」、「住吉大社神代記」に「奉充神戸二烟、神田七段百四歩、即在西成郡」、保安元年(一一二〇)頃の摂津国正税帳案(九条家冊子本「中右記」裏文書)に「座摩神戸二□、 (租稲捌拾束カ)」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「坐摩神社」の意味・わかりやすい解説

坐摩神社 (いかすりじんじゃ)

大阪市中央区久太郎町に鎮座。〈ざまじんじゃ〉とも呼ぶ。生井(いくい)神,福井(さくい)神,綱長井(つなかい)神,波比祇(はひき)神,阿須波(あすは)神をまつる。これらの神は,仁徳天皇のときの難波京の皇居の地の霊としてまつられ,859年(貞観1)従四位下に叙され,延喜の制で大社,1583年(天正11)豊臣秀吉の大坂城築城とともに,現在地に遷座。1936年官幣中社。例祭4月22日で,花祭また献花祭ともいわれる。夏越神事(7月22日)は有名。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「坐摩神社」の意味・わかりやすい解説

坐摩神社
いかすりじんじゃ

大阪府中部,大阪市中央区に鎮座。元官幣中社。「ざまじんじゃ」ともいう。大宮所を守る 5神をまつる。例祭 4月22日。寛政10(1798)年に桂文治1世が寄席を開いたことで,上方落語寄席発祥の地として知られる。(→官幣社

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百科事典マイペディア 「坐摩神社」の意味・わかりやすい解説

坐摩神社【ざまじんじゃ】

古訓はヰカスリと表記され,大阪市中央区久太郎町に鎮座。旧官幣中社。俗に〈ざまさん〉と呼ぶ。生井(いくい)神,福井(さくい)神,綱長井(つながい)神,波比祇(はいき)神,阿須波(あすは)神をまつる。いずれも大宮地の霊として宮中にまつられた。例祭は4月22日で,献花祭ともいわれる。ほかに鳥懸神事(11月16日)など。

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デジタル大辞泉プラス 「坐摩神社」の解説

坐摩神社

大阪府大阪市にある神社。“坐摩”は「いかすり」とも「ざま」とも読む。延喜式内社。祭神は坐摩大神(生井神(いくいのかみ)、福井神(さくいのかみ)、綱長井神(つながいのかみ)、阿須波神(あすはのかみ)、波比岐神(はひきのかみ))。

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世界大百科事典(旧版)内の坐摩神社の言及

【坐摩神社】より

…大阪市東区渡辺町に鎮座。〈ざまじんじゃ〉とも呼ぶ。生井(いくい)神,福井(さくい)神,綱長井(つなかい)神,波比祇(はひき)神,阿須波(あすは)神をまつる。これらの神は,仁徳天皇のときの難波京の皇居の地の霊としてまつられ,859年(貞観1)従四位下に叙され,延喜の制で大社,1583年(天正11)豊臣秀吉の大坂城築城とともに,現在地に遷座。1936年官幣中社。例祭は4月22日で,花祭また献花祭ともいわれる。…

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