地域子育て支援拠点事業(読み)ちいきこそだてしえんきょてんじぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地域子育て支援拠点事業」の意味・わかりやすい解説

地域子育て支援拠点事業
ちいきこそだてしえんきょてんじぎょう

地域で子育てを支えるため、当事者相互交流を図り、子育ての不安や悩みを相談し、助言援助を受けられる場所を設置する事業。核家族化や地域のつながりが希薄化したため、とくに乳幼児の子育てが孤立化する傾向が強まっている。子育て中で外出機会の少ない保護者の身近な場所で孤独感や不安を緩和し、子供の健やかな成長を支援することが目的である。地域における子育て家庭を支える国の取組みとして、1993年度(平成5)に始まった。市町村が実施主体として社会福祉法人やNPO法人、民間事業者などへ委託するなどして、週3日から5日程度、子育ての知識や経験の豊富な専任者を常駐させて開設している。2013年度(平成25)時点で全国に6233か所の拠点があり、2015年度からは地域子ども・子育て支援事業の一つとして組み込まれ、一般型と連携型の二つに再編された。(1)一般型 おおむね3歳未満の子供と保護者が気軽に立ち寄り、相互に交流を図るための常設施設。保育所や公共施設一角商店街の空き店舗などを活用し、週3日以上、1日5時間以上の実施を目安とする。子育ての知識と経験を有する専任者を2人以上配置する。また、親子が集う場を常設することがむずかしい場所へ出向き、交流のための出張ひろばを実施する取組みも行われている。さらに、一般型では地域のさまざまな世代とのつながりが重視されている。そのため、他の団体と連携した伝統文化、民間行事などへの参加をはじめ、家庭への訪問支援などによって、子育て親子と地域の継続的なつながりも図られている。(2)連携型 児童館や児童センター、保育所といった児童福祉施設などに、原則として週3日以上、1日3時間以上開設される支援拠点。子育て中の親子が遊んだり、親同士で会話や情報交換が行える場所を設けるとともに、育児や保育に関する相談、指導のできる専任者を配置し、児童福祉施設の職員も協力しながら専門的な講習などが実施される。

 このほかに地域機能強化型として、公共施設、保育所などにおいて、週5~7日、1日5時間以上を目安に、子育て家庭が子育て支援の給付・事業のなかから適切な選択ができるよう情報の集約・提供(利用者支援機能)、世代間交流や訪問支援、地域ボランティアとの協働(地域支援機能)などを行うこととしている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例