精選版 日本国語大辞典 「一角」の意味・読み・例文・類語
いっ‐かく【一角】
〘名〙
① 一つのすみ。かたすみ。また、一部分。
※正法眼蔵(1231‐53)古鏡「雪峰は徳山の一角なり」
※瓦礫の中(1970)〈吉田健一〉八「いつまでも新鮮に記憶の一角に残った」
② 一つのかど。一つの角(かく)。
③ 際立ってすぐれた特質。ひとかど。いっかど。
※玉塵抄(1563)一「その時の天子の別立とをしなりたぞ。別に一角(カク)立てた者と云心かぞ」
④ (長方形の形から) 一分金の異名。一分。
※浮世草子・好色一代男(1682)二「くたり盃一つ、焼物一貝とりて一角(カク)計(ばかり)とらせて」
⑤ 一本のつの。
※正法眼蔵(1231‐53)袈裟功徳「牛もし一角に触るればその罪おのづから消滅す」
⑥ イッカク科の哺乳類。イルカに類似し、体長約五メートル。雄の上あごにある一対の歯のうち、一個が前方に二メートル以上ものび、角状となる。雌は二歯とも発達不完全。背びれはなく、背面に多くの小さな黒斑がある。北極海に分布。雄の長い歯は、古くは解毒剤として珍重された。一角獣。〔和漢三才図会(1712)〕
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