日本大百科全書(ニッポニカ) 「在留資格」の意味・わかりやすい解説
在留資格
ざいりゅうしかく
status of residence
外国人が日本に入国する際に必要な身分や活動範囲を示す法的資格。「出入国管理及び難民認定法」(昭和26年政令第319号、略称「入管法」「入管難民法」)の別表に基づき、法務大臣の許可を受けて付与される。「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職1号(イ、ロ、ハ)」「高度専門職2号」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「技能実習1号(イ、ロ)」「技能実習2号(イ、ロ)」「技能実習3号(イ、ロ)」「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」「特定活動」および「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の36種類ある。2019年(平成31)4月から、特定技能と一定の日本語力をもつ「特定技能1号」と、より熟練した技能をもつ「特定技能2号」が加わる。特定技能1号は在留期間が最長5年で、5年を過ぎると更新できず、家族の帯同もできないが、特定技能2号に認定されれば、在留期間を繰り返し更新でき、家族の帯同も認められる。
上に記した在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」など身分・地位に基づく資格(4種類)と、「外交」「研究」「介護」など日本での活動範囲を定めた資格(32種類)および「特定技能」に分けられる。資格ごとに、在留期間(無期限、5年、3年、1年、半年、3か月、30日、15日など)と、該当例(外交官、企業経営者、中高等学校の語学教師、介護福祉士、留学生など)が定められている。日本政府は単純労働を対象にした在留資格はないと説明しているが、技能実習や留学などの在留資格で未熟練労働に従事している外国人が多数いるのが実態である。
日本は他の先進国に比べ、在留資格を厳しく制限してきたが、人口減少による人手不足の深刻化もあって、政府は入管法をたびたび改正し、外国人登録制度の廃止、在留期間の延長、高度な知識や専門技術をもつ外国人(高度人材)の受入れと高度人材優遇策(ポイント制度)の導入などを順次実施した。2018年改正では、2019年4月以降、特定技能1号として農業、漁業、建設業、造船・舶用工業、介護、飲食料品製造、外食、宿泊業など14業種、特定技能2号として建設業と造船・舶用工業の2業種への外国人受入れを順次開始する。在留外国人数(2018年6月末時点)は約263万人で、このうち外国人雇用者数(2018年10月末時点)は約146万人いる。政府は特定技能資格の新設で2019年から5年間で約34万人のさらなる外国人を受け入れる計画である。
[矢野 武 2019年6月18日]