国際人道法の違反行為処罰法(読み)こくさいじんどうほうのいはんこういしょばつほう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

国際人道法の違反行為処罰法
こくさいじんどうほうのいはんこういしょばつほう

正式名称は「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」。平成16年法律第115号。いわゆる有事法制の「個別法」の一つで、他の関連7法と同時に2004年(平成16)6月14日に成立、6月18日に公布された。

 この法律は2004年、同時に批准され、9月3日に公布された二つのジュネーブ条約追加議定書(1977年採択)と1953年(昭和28)に批准された1949年のジュネーブ4条約が武力攻撃事態において適用されることになるため、そこに盛り込まれている規定を遵守するための国内法で、重大な違反には罰則等を科すこととしている。

 具体的には重要な文化財破壊捕虜等の送還を遅延させること、占領地に入植すること、文民出国を妨げることなど、現行刑法等では処罰できないケースについて罰則等を整備している。なお国外犯も処罰することとしている。

[松尾高志]

『小池政行著『国際人道法――戦争にもルールがある』(2002・朝日新聞社)』『内外出版編、西修監修『詳解有事法制――国民保護法を中心に』(2004・内外出版)』

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