四ホウ酸塩(読み)シホウサンエン

化学辞典 第2版 「四ホウ酸塩」の解説

四ホウ酸塩
シホウサンエン
tetraborate

一般式M2B4O7nH2Oで表されるホウ酸塩四ホウ酸ナトリウムの十水和物はホウ砂とよばれる.四ホウ酸塩の鉱物は,Na塩ではホウ砂以外にカーン石(kernite)(四水和物),チンカルコ石(tincalconite)(五水和物)などがあり,そのほか,Ca塩(四水和物)のbechilite,Mg塩(一水和物)のhalurgiteなどがある.塩は,ホウ酸と金属水酸化物または炭酸塩などを水溶液中で反応させ,これを濃縮すると得られる.ホウ砂,カリウム塩,アンモニウム塩では,2個ずつの平面三角形型のBO3と正四面体型のBO4が組み合わさった,四量体の陰イオン,ペンタ-μ-オキソテトラキス(オキソホウ酸)(2-)イオン [B4O5(OH)4]2-(図)が存在する.B-O1.3~1.4 Å(BO3内),1.4~1.5 Å(BO4内)[CAS 12344-83-1].そのほかの塩では,BO3,BO4が互いにOを共有して縮合した,帯状,または二,三次元に広がったポリマー型になっているものが多い.なお,遊離の酸は,単離されていない.ホウ砂は多くの用途がある.NH4塩は電解コンデンサーの電解液やホルマール樹脂製造時の中和剤などに,Li塩は陶磁器製造に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報