和水(町)(読み)なごみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「和水(町)」の意味・わかりやすい解説

和水(町)
なごみ

熊本県北部、玉名郡(たまなぐん)にある町。2006年(平成18)玉名郡菊水町(きくすいまち)、三加和町(みかわまち)が合併して成立。町名は一般公募によるもので、旧町名から1字ずつ採用。町域は南北に細長く、大半が丘陵台地で、北は福岡県と接する。南部を九州自動車道が走り、菊水インターが設けられている。東方から流れこんだ菊池(きくち)川は、北部山地に発する十町(じっちょう)川・和仁(わに)川の水を集めながら、町のほぼ中央で大きく湾曲し、南へと流れる。同川と支流一帯水田が広がるほか、丘陵などでハウスによる野菜・果物栽培が盛ん。電器、精密機械などの企業誘致も積極的に行っている。75文字を銀象嵌(ぞうがん)した環頭大刀が出土したことで著名な江田船山古墳(えたふなやまこふん)があり、近くの虚空蔵塚古墳(こくうぞうづかこふん)・塚坊主古墳(つかぼうずこふん)と合わせて国指定史跡。なお、江田船山古墳出土遺物の大半は東京国立博物館に収蔵され、1965年(昭和40)一括して国宝に指定された。ほかに、巨石をふんだんに用いた江田穴観音古墳(えたあなかんのんこふん)、土地の国人領主和仁氏の居城だった戦国末期の田中城跡豊前(ぶぜん)街道面影をのこす「腹切坂」などが国の史跡に指定される。江田船山古墳近くの肥後(ひご)民家村には、国指定重要文化財の旧境家住宅ほか、多くの古民家移築・保存され、体験可能な各種工房、簡易宿泊施設なども整備。同じく江田船山古墳近くに、トンカラリンとよばれる隧道(すいどう)型遺跡があり、築造年代や用途などについて議論されている。面積98.78平方キロメートル、人口9342(2020)。

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