周波数応答(読み)しゅうはすうおうとう(英語表記)frequency response

日本大百科全書(ニッポニカ) 「周波数応答」の意味・わかりやすい解説

周波数応答
しゅうはすうおうとう
frequency response
frequency characteristics

信号伝達要素の固有の性質を表現する方法の一つ。信号伝達要素の入力出力との間に比例関係があるとき、その要素を線形要素という。その要素に一定周波数、一定振幅正弦波状に変化する信号を加えると、過渡的な状態を除いた定常状態の出力は定振幅の正弦波となる。そこで、入出力信号間の関係として出力と入力の振幅比と位相差に注目し、周波数を線形要素の使用周波数帯域で変化させ、両者がどのように変わるかを調べると、それが線形要素固有の性質を示すので、この表現を周波数応答あるいは周波数特性という。周波数応答を表示する場合によく使用されるボード線図Bode diagramは、デシベルで表した振幅比と位相とを周波数または角周波数の対数軸表現に対してプロットした線図である。信号伝達特性の評価には、時間領域での表現法である過渡応答よりも使用する周波数全域について特性が把握できるので、便利と考えられている。線形信号伝達要素として代表的な一次遅れ系および二次遅れ系について周波数応答を図示する(図A)。また、一次遅れ系および二次遅れ系の伝達関数と具体例として、それらの等価回路を表示した(図B)。インパルス入力に対する過渡応答をインパルス応答というが、そのフーリエ変換が周波数応答である。

[山﨑弘郎]

『計測自動制御学会編『自動制御ハンドブック 機器・応用編』(1983・オーム社)』『杉江俊治・藤田政之著『フィードバック制御入門』(1999・コロナ社)』『吉岡宗之著『電気回路入門』(2002・昭晃堂)』『大日方五郎編著、池浦良淳他著『制御工学――基礎からのステップアップ』(2003・朝倉書店)』


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化学辞典 第2版 「周波数応答」の解説

周波数応答
シュウハスウオウトウ
frequency response

流体が定常的に流入,排出されている化学装置などの系において,入力信号として正弦波を持続的に加えた場合,系が線形であれば出力信号の定常的な部分は正弦波として得られる.その振幅,位相を入力と比較して,その系の動特性を調べる手順を周波数応答という.反応装置に応用する場合,正弦波入力をつくるのに特殊な装置を必要とすること,測定に長時間を要するなどの欠点がある.[別用語参照]応答

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周波数応答」の意味・わかりやすい解説

周波数応答
しゅうはすうおうとう
frequency response

線形システムに正弦波入力を加えたとき,出力もまた正弦波となるが,その振幅および位相は入力と異なる。入出力の振幅比および位相のずれが,周波数によって変化する様子をシステムの周波数応答という。これはシステムの特性をよく表わすので,制御系,電気回路,音響機器などで用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「周波数応答」の意味・わかりやすい解説

周波数応答 (しゅうはすうおうとう)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の周波数応答の言及

【応答】より

…インパルス状の入力を与えたときのインパルス応答と入力がステップ状に変化した場合のステップ応答に分けられる。また正弦波周波数の入力を与えたときの応答を周波数応答といい,出力の振幅,位相差は周波数によって変動する。入力xと出力yの関係が次式で表されるとき,二次系であるといい,制動状態によって出力が変化する。…

※「周波数応答」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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