取物・採物(読み)とりもの

精選版 日本国語大辞典 「取物・採物」の意味・読み・例文・類語

とり‐もの【取物・採物】

〘名〙
① 取得すること。とり入れること。また、そのもの。
言継卿記‐元亀二年(1571)一〇月一六日「竹内殿へ参、客来之一味〈蔓草・墨絵〉懸御目、可然絵之由承了、今度叡山之取物也、買得之
掠奪すること。また、そのもの。
※殿暦‐長治元年(1104)一二月二一日「此間検非違使郎等追捕間、近辺家取物之由其有聞」
③ (多く「採物」と書く) 手にとって持つもの。
(イ) 儀式などの時、特定の物品を手にとりもつこと。また、そのもの。また、その役の人。
※延喜式(927)五「凡斎王将于初斎院河頭祓〈略〉取物十人〈略〉並従車後
(ロ) 祭時に神官が手に持つ道具。特に、神楽歌の舞人である人長(にんじょう)が持って舞う物。榊(さかき)、幣(みてぐら)、杖(つえ)、篠(ささ)、弓(ゆみ)、剣(たち)、鉾(ほこ)、杓(ひさご)、葛(かずら)木綿(ゆう)など。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「とねり卅人、えもいはずさうぞかせて、とり物せさせて」
④ (多く「採物」と書く) 神楽、特に御神楽(みかぐら)の部類名。神楽の初めの方で、神迎えの目的で演ぜられる。③(ロ)を持って舞うもので、榊・幣・杖・篠・弓・剣・鉾・杓・葛・韓神の一〇曲。
※神楽歌(9C後)「採物」
碁石でする遊戯の一つ。ひろいもの。〔随筆・嬉遊笑覧(1830)〕
土地家作などからはいってくる金銭。また、働いたり事業をしたりして得る収入
※西洋家作雛形(1872)〈村田文夫・山田貢一郎訳〉四「小商人、并に定りたる歳入(トリモノ)にして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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