印鑰(読み)インヤク

デジタル大辞泉 「印鑰」の意味・読み・例文・類語

いん‐やく【印×鑰/印×鎰】

印判いん
印判とかぎ
官府長官の印と諸司・城門・蔵などの鍵。
天台座主ざす職印延暦寺宝蔵の鍵。また、僧綱そうごうの職印と僧綱所の鍵など。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「印鑰」の解説

印鑰
いんやく

印鎰とも。印と鍵のこと。天皇の正印と朝廷諸司の庫の鍵。転じて諸官府の長官の官印と官庫の鍵,寺社長者の職印と寺庫の鍵を意味した。具体的には国守の官印と国庫の鍵,僧綱(そうごう)の職印と僧綱所の鍵,天台座主の職印と延暦寺宝蔵の鍵などをさす。官府の長官や寺社の長者の交代時に印鑰を渡すことから,「印鑰渡し」が前任者から後任者への事務引継ぎを意味し,印鑰が官府や寺社を統轄する職務職権象徴ともされた。平将門が国府占拠にあたり国衙(こくが)の官印と国庫の鑰を掌握したことは有名。国衙周辺に印鑰を祭る印鑰社がよくみられた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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