普及版 字通 「匿(漢字)」の読み・字形・画数・意味
匿
常用漢字 10画
(旧字)
11画
[字訓] かくれる・かくす・にげる
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
匸(けい)+(若)(じやく)。は巫女が舞い祈る形。匸は秘匿の所。巫女が秘匿の所にあって、ひそかに祈することをいう。〔説文〕十二下に「(に)ぐるなり」とし、字を声とするが、匸部には・医など、秘匿のところで呪儀を行うことを示す字が多い。〔爾雅、釈詁〕に「なり」とあるのは陰微、また〔玉〕に「陰姦なり」とみえる。匿れて呪詛などを行う陰姦のことをいう。金文には周初の〔大盂鼎(だいうてい)〕に「厥(そ)のを闢(ひら)き、四方を匍(ふ)(敷)す」とあり、服從しないものは匿を懐くものとされた。〔周礼、地官、土訓〕「地(ちとく)」の〔司農注〕に「地生ずるの惡物、人をする、蝮(きふく)の屬の(ごと)し」とあり、地妖の類をいう。もと呪的なものをさしていう語である。
[訓義]
1. かくれる、かくれて祈る。
2. かくす、さける、にげる。
3. かすか、ほのか、外にあらわれぬもの。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 カクス・カクル・ノガル・ホロブ・ツトム・ケガラハシ・イマシム・ヨコシマ 〔字鏡集〕 カタマシ・ノガル・ケガラハシ・ホロブ・イマシム・ツトム・ナカラ・カクル・ユカル・カクス
[声系]
〔説文〕に声の字としてを収める。字はまた昵(じつ)に作る。は〔爾雅、釈訓〕にみえ、もとと同字である。
[語系]
・・nikは同声。・忸niukは声近く、・・忸はともに慙愧(ざんき)の意がある。nietは声の字であるが、また昵に作り、尼niei声に従って、また別系の字である。
[熟語]
匿悪▶・匿意▶・匿役▶・匿怨▶・匿瑕▶・匿▶・匿居▶・匿空▶・匿戸▶・匿行▶・匿光▶・匿財▶・匿罪▶・匿▶・匿笑▶・匿情▶・匿心▶・匿迹▶・匿跡▶・匿知▶・匿逃▶・匿年▶・匿避▶・匿伏▶・匿謀▶・匿名▶・匿耀▶・匿糧▶・匿路▶
[下接語]
陰匿・隠匿・掩匿・匿・偽匿・匿・私匿・自匿・舎匿・飾匿・潜匿・走匿・臧匿・蔵匿・側匿・逃匿・秘匿・避匿・伏匿・服匿・匿・匿・辟匿・貶匿・亡匿・悶匿・幽匿・容匿・淪匿
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報