北海道巡行記(読み)ほつかいどうじゆんこうき

日本歴史地名大系 「北海道巡行記」の解説

北海道巡行記
ほつかいどうじゆんこうき

関直彦報 「東京日々新聞」明治一九年八―九月連載

解説 内務大臣山県有朋・外務大臣井上馨が、同一九年八―九月に行った道内巡視旅行に随行した新聞記者の報道記事。両大臣は前半には夫人も同伴し、その他内務・外務・農商務各省からの随員、民間の実業家益田孝・大倉喜八郎ほか、さらに書家長三州、落語家三遊亭円朝も加わった総勢数十人の大旅行であった。旅程は函館・余市小樽・札幌をへて日高路から釧路厚岸根室を回り、そこから引返して室蘭・函館に至る普通のコース。記事は多彩であるが、この旅行の真の意味は、同一九年一二月井上・山県の連名内閣へ出された「北海道巡視意見書」(「新しい道史」三〇・三一)がもたらした開拓政策転換への影響にあった。「新しい道史」一―三号に河野常吉による写本を抄録して掲載している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報