別宮(読み)ベツグウ

デジタル大辞泉 「別宮」の意味・読み・例文・類語

べつ‐ぐう【別宮】

本社または本宮に付属する神社。摂社末社今宮いまみやなどの総称。

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精選版 日本国語大辞典 「別宮」の意味・読み・例文・類語

べつ‐ぐう【別宮】

〘名〙
① 本宮に付属して別の場所に立てられた神社で、宮号(ぐうごう)を有するもの。多く本宮と祭神を同じくする。
類聚符宣抄‐一・長保五年(1003)一〇月一四日・太政官宣旨「相加月読伊佐奈岐両別宮、令修造
② 離宮。
文華秀麗集(818)下・水上鴎〈朝野鹿取〉「河陽別宮対江流、不労行往見群鴎」

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日本歴史地名大系 「別宮」の解説

別宮
べつく

徳島市川内かわうち町別宮地区にあった中世の湊。現在上別宮・下別宮に分れるが、中世の別宮がどちらに所在したかは不明。地名は山城石清水いわしみず八幡宮の別宮(現別宮八幡神社)が勧請されたことによる。応永七年(一四〇〇)八月二四日の管領畠山基国施行状(細川家文書)に「別宮嶋院主職」とあり、同年三月二三日に足利義満から細川頼長に安堵された阿波国の当知行所領に含まれていた。当地石清水八幡宮領の萱島かやしま庄に属し、同職は当地の別宮八幡神社をつかさどる役職名であったとみられる。文安二年(一四四五)の「兵庫北関入船納帳」によると、別宮を船籍地とする船が兵庫北関に一回入港している。入港日は一二月一日で、積載品目・数量は山崎コマ四一石五斗・四五文と記されている。

別宮
べつぐう

中宮三社のうちの一社で、白山七社を構成した。現在、別宮べつくに社名を継承したとされる産土神の白山別宮神社が存在することから、所在地は別宮付近に比定される。「白山之記」に「別宮分」とみえ、三間一面の宝社は禅頂ぜんちよう別宮と称された。ほかに三間の渡殿、小社二宇、五間二面の講堂から構成される。同書には、本地仏について「本地十一面、阿弥陀、正観音、三所権現也」とみえ、白山禅頂の三本地仏があげられるが、大永神書(白山比神社文書)には永延二年(九八八)のこととして、「白山別宮、本地薬師如来、又禅頂三所、十一面阿弥陀聖観音云々」とあり、本地垂迹説の所伝の相違がうかがわれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「別宮」の意味・わかりやすい解説

別宮 (べつぐう)

本社と仰ぐ神社を有し,それに対して別立されている神社の称号の一つ。これには幾種かあり,(1)伊勢神宮付属の神社のうち,皇大神宮(内宮)付属の荒祭宮など10社,豊受(とゆけ)大神宮(外宮)付属の多賀宮など4社のごとく宮号を有し,本宮と関係深く,摂社・末社・所管社を超えて待遇されているような社の場合。(2)中世,宇佐八幡宮,石清水(いわしみず)八幡宮それぞれの諸国神領に本社が勧請され,それを別宮と称した。その場合,別宮は神領とともに本社で管理された。(3)そのほかに今宮,若宮など,さらに神幸祭の頓宮,お旅所,また旧社地に奉斎してある社のことを別宮と称しているように,幾種にか分類される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「別宮」の意味・わかりやすい解説

別宮
べつぐう

本宮に対する称号で本宮ときわめてかかわり深い枝葉の関係にたつ神社。伊勢(いせ)神宮の場合、内宮(ないくう)所属の別宮は10社、外宮(げくう)所属の別宮が四社ある。神宮の場合は神宮所摂の社(やしろ)で宮号を称せられることをいい、本宮と区別するための称号。神宮の格式上、本宮に次いで崇敬される宮社である。

[落合偉洲]

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