刑部姫(読み)おさかべひめ

朝日日本歴史人物事典 「刑部姫」の解説

刑部姫

兵庫県姫路城天守閣に祭られている城の地主神といわれる。伝説では,天守閣に棲む妖怪とみなされる老女であり,築城の際に人柱となった女の変化とみられている。各地の人柱伝説では,築城や架橋の際に女性が埋められ,のちに神に祭られたと説明されている。刑部姫がいるという天守閣には,人は近づいてはならないとされ,ただ年に1回だけ,城主対面を許されたという。築城以前に,この地域が聖地であり,土地の神が,そのまま地主神として,城の守護神に昇化したが,その霊異が強調されて禁忌が成立したと推察される。おさかべは,このあたりでは青大将(蛇)をさしており,原型は大蛇が地主神として崇拝されたものである。

(宮田登)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「刑部姫」の解説

刑部姫 おさかべひめ

姫路城の天守閣にまつられた地主神。
播磨(はりま)(兵庫県)姫路の城主池田輝政が城内にまつったとされている。地主神とも刑部大明神ともいう。のちに妖怪とむすびつけられ,老女や古狐の姿でえがかれる。江戸時代中期ごろ歌舞伎などで上演されひろまった。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「刑部姫」の解説

刑部姫
(通称)
おさかべひめ

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
袖簿播州廻 など
初演
安永8.3(大坂・小川座)

刑部姫
〔常磐津, 清元〕
おさかべひめ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
河竹新七(3代)
初演
明治43.3(東京市村座)

刑部姫
おさかべひめ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
岡本綺堂
初演
大正14.1(東京・帝国劇場)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報