六日年越し(読み)ムイカトシコシ

デジタル大辞泉 「六日年越し」の意味・読み・例文・類語

むいか‐としこし【六日年越し】

正月7日を7日正月といい、その前夜年越しとして祝うこと。 新年》「あたたかに―よき月夜白水郎

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改訂新版 世界大百科事典 「六日年越し」の意味・わかりやすい解説

六日年越し (むいかとしこし)

1月6日夕方から7日にかけてをいう。〈神年越し〉〈馬の年越し〉などともいう所もある。1月7日は元日正月の終りだとも十五日正月の始まりだとも考えられるが,また,江戸時代には五節供の一つ(人日(じんじつ))として重要な節日と考えられており,そのためか七日正月とも呼ばれている。したがって前夜は,大晦日や十四日年越し・節分などとともに年越しとされている。七日正月朝の七草粥は全国的であるが,準備はすでに六日年越しから始まっていた。年男が6日夜に年棚の前にまないたを据え,独特の唱え言によってその上で7種の野草をたたき,年神に供えてから翌朝下ろして粥に入れ,家族そろって食べるのである。七草粥は神饌であり,七日正月にはそれを神人共食して神の霊威を得ようとする点で,元旦雑煮や15日の小豆粥などと似ている。このほか九州地方には悪鬼の訪れを説いて門口魔よけの設けをしている所が少なくないが,同様に長野県では戸口サワガニを炙(あぶ)ってさしておく風習がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六日年越し」の意味・わかりやすい解説

六日年越し
むいかとしこし

正月6日に行われた正月行事の一つ。神年越し,女の年越し,馬の年越しなどという地方もあった。この夜の行事大みそかに似たものが多く,麦飯を食べ,沢がにをちがやの串に刺して戸口にはさむ地方,「蘇民将来」と書いた札を戸口に張る地方や,ひいらぎなどとげのある木の枝を戸口に差したり,かに年取りといってかにを食べ,その鋏を戸口に差したりする地方もある。またこの夜,翌日の七草粥に入れる七草まな板に載せ,神棚の前で包丁でたたきながら,「七草なずな,唐土の鳥と日本の鳥と,渡らぬ先に…」などと唱える行事は,東京でも近年まで行われていた。

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