入方(読み)イリガタ

デジタル大辞泉 「入方」の意味・読み・例文・類語

いり‐がた【入(り)方】

《「いりかた」とも》中にはいろうとするころ。特に、日や月などが没しようとするころ。「日の入り方に宿に着いた」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「入方」の意味・読み・例文・類語

いれ‐かた【入方】

〘名〙 (「方」は、その係の人、または専職者の意)
出入り駕籠(かご)屋。京都遊里語
※浄瑠璃・太平記忠臣講釈(1766)六「祇園の茶屋入方、挑灯てん手(で)に」
芸人女給などを需要先の料亭へ斡旋する人。
風俗画報‐一五四号(1897)人事門「入方(イレカタ)といふ元締の指図を経て、〈略〉諸方の料亭へ給仕に往きぬ」

いり‐がた【入方】

〘名〙 (「いりかた」とも) 中にちょうどはいろうとする頃。多く日、月などが没しようとする頃の意に用いられる。
源氏(1001‐14頃)桐壺「月はいりかたの、空清う澄みわたれるに、風いと涼しくなりて、草むらの虫の声々、もよほし顔なるも」
大鏡(12C前)六「やうやう日は山の端に入がたに、光のいみじうさして」

いり‐かた【入方】

〘名〙 江戸時代林野入会権(いりあいけん)一種。他村の林野に属している入会地権利。その用益権地元の村のそれより弱く、植物などの採取にも各種の制限を伴った。
※喬木村外約定証書‐明治一〇年(1877)「宝暦度山論以来、地元小川、加々須にては刈敷二日前より刈取、入方阿島は三日目より刈取候処」

いる‐かた【入方】

〘名〙 はいる方向
※源氏(1001‐14頃)末摘花「もろともに大内山は出でつれどいるかた見せぬいさよひの月」

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