入学許可訴訟(読み)にゅうがくきょかそしょう

大学事典 「入学許可訴訟」の解説

入学許可訴訟
にゅうがくきょかそしょう

大学へ入学するために試験を受けたものの,何らかの不合理な理由(多くは学力試験の成績以外)によって大学への入学許可を得られなかったと推測される場合に,受験者が大学に対し入学許可を求めて提起する訴訟。学生の入学を決定するのは学長であるが,教授会は学長が決定を行うに当たり意見を述べることができるとされている(「学校教育法」93条2項)。また,試験の内容や合格基準の決定は各大学の裁量事項と考えられている。国立大学医学部の入試において,年齢を理由に不合格とされたことを不当として,受験者が入学許可を求めた裁判では,①大学入試の合否判定が司法審査の対象になるか,②実際に年齢による差別があったか,などが争われたが,年齢による差別が明白とは認められず,訴えは退けられた(群馬大学医学部入試訴訟,平成18年前橋地裁判決)。ほかに国籍を理由に入学を許可しなかった大学に対して違憲判決が下り(平成23年東京地裁判決),許可前提での再審査という形で和解するに至ったケースや,特定宗教団体と密接に関係している合格者を入学不許可とした私立大学が違法と判断されたケースがある(平成18年東京地裁判決)
著者: 齋藤千尋

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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