精選版 日本国語大辞典 「備・具・供」の意味・読み・例文・類語
そなえ そなへ【備・具・供】
[1] 〘名〙 (動詞「そなえる(備)」の連用形の名詞化)
① 物、状態、条件などをととのえること。また、それらを具備した状況や設備。準備。
※大日経義釈延久承保点(1074)一三「今人武を習はず、又其の備(ソナヘ)无し」
② 特に、攻撃などに対し防備・警戒すること。また、その人。
(イ) 警固に当たる人。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「度する所の僧は、王の侍衛の具(ソナヘ)なり」
※大かうさまくんきのうち(1605頃)「さて新九郎よしたつそなゑの中より、むしゃ一きすすみいづる」
(ハ) 他からの働きかけに対応する心の準備、用意。
③ (供) 神仏・貴人などにそなえるもの。
(イ) そなえる食べ物や品物。おそなえ。
※今鏡(1170)九「閻魔の庁に参りたりつるに、いひ知らぬそなゑを奉れるによりて」
(ロ) そなえ餠のこと。おそなえ。鏡餠。
※雑俳・柳多留‐初(1765)「無いやつのくせにそなへをでっかくし」
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「鼓吹一(ひと)部(ソナヘ)」
そな・える そなへる【備・具・供】
〘他ア下一(ハ下一)〙 そな・ふ 〘他ハ下二〙
① 物・状態・条件などをそろえととのえる。それらを具備させる。用意する。
※続日本紀‐天平宝字元年(757)七月二日・宣命「私(ひそか)に兵(つはもの)を備布(そなフ)と聞こしめして」
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「ありつる魚(いを)は、魚とみつれど、百味をそなへたる飲食になりぬ」
② 身につける。自分のものとする。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「旦主為性(ひととなり)仏心を具(ソナ)へて深く世網を厭む」
③ (「…にそなえる」の形で) その地位につける。すえる。
※寛永版曾我物語(南北朝頃)一「今は疑ふ所無く程嬰に心を許し、一の大臣にそなへ給ふこそ御運の極とぞ覚えける」
④ (供) 神仏や貴人に、物を調えてさしあげる。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「何(いか)にしてか如法の大御供養を備(ソナヘ)儲けて」
⑤ (「…にそなえる」の形で、相手の動作をさして) その用にたてる。供する。
そな・ゆ【備・具・供】
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)七「種々の食物を具(ソナ)ゆることぞ」
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