偏位法(読み)へんいほう(英語表記)deflection method

日本大百科全書(ニッポニカ) 「偏位法」の意味・わかりやすい解説

偏位法
へんいほう
deflection method

計測手法の一つで、測定対象量の結果として生ずる指示値からその大きさを求める方法。多くの計器はこの方法によっている。たとえばダイヤルゲージは、測定物によって連続的に偏位させられる測定子の変位量(動き)を拡大して指針でその動きの大きさを示すものである。ブルドン管圧力計もガラス温度計も同じである。測定対象量の大きさに応じて変化する指示を得るために指針と目盛りが用いられ、一般に基準の大きさは目盛りにより、これと指針の振れとの位置関係で測定量の大きさを求める。したがって偏位法は、最終的には長さまたは角度の測定に帰着される。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「偏位法」の意味・わかりやすい解説

偏位法
へんいほう
deflection method

測定方式の1種。測定量を原因とする結果が直接に指針と目盛りによって測定値を指示する方式。例として,ばね式台秤や液体温度計 (液柱の頭が指針の役目をする) がある。通常は固定された目盛り上を指針が動くが,逆に指針が固定されて目盛りが動くものもある。あらかじめ基準量により目盛り定めしてある。偏位法による測定は,指針のふれが直接に測定値を指示するので簡便で速いが,目盛りの長さや細かさに限度があるために精度はよくない。

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改訂新版 世界大百科事典 「偏位法」の意味・わかりやすい解説

偏位法 (へんいほう)

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世界大百科事典(旧版)内の偏位法の言及

【計測】より

…このように測定量に対して任意に変えられる同種の物理量を用意して比較し,両者の差が零になるように調整したときの,その調整した量の値をもって測定値とする方法を零位法zero methodという。これに対して,水銀温度計や電圧計のように測定量に応じて変化する物理量を目盛で読み取る方法を偏位法deflection methodという。 測定量によってはただ一つの量を測るだけでは測定しにくいこともある。…

【測定】より

…また,組立量の絶対測定は,その量を定義する物理法則によっているから,実際の測定においてその法則が正しく成り立っているかを吟味しなければならない。 測定を実施するために装置系を構成するが,その構成法として偏位法,零位法,補償法,合致法などがある。偏位法はもっとも簡単で,測定量を原因としその直接の結果として生ずる指示から測定量を知る方法である。…

【電気計測】より

… 電気計測の特徴としては,(1)半導体素子,ICの導入により,増幅,演算,伝送が容易で迅速な測定が可能,(2)微小量の測定,対象への影響の少ない精密測定が可能,(3)コンピューター,マイクロコンピューターの組込みにより測定後のデータ処理が容易となり,多機能な測定が可能,(4)電気的変換器,とくに半導体センサーの導入により,広汎な測定が可能,(5)多様なディスプレー装置の利用が可能などで,技術進歩が急速である。測定の対象となるものは,(1)電圧,電流,電力など,(2)抵抗,容量,インダクタンスなど,(3)周波数,時間などがおもなものであり,測定方法としては電位差計,ブリッジなどを用いる零位法と指示計器を用いる偏位法に分けられる。前者は精密な方法で検出器が零を指示するよう,手動または自動の平衡操作が必要である。…

※「偏位法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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