何くれ(読み)ナニクレ

デジタル大辞泉 「何くれ」の意味・読み・例文・類語

なに‐くれ【何くれ】

[副]あれやこれや。いろいろ。何くれとなく。
「居りさえすれば、―と款もてなして呉れた」〈漱石坊っちゃん
[代]不定称の指示代名詞不特定多数の人や事物を漠然とさす。なになに。
「―の宮、かの殿ばらの御女むすめなど名乗り給ふ人々多かめり」〈栄花・ゆふしで〉
[類語]どうこう何やかやそうこうあれこれとかくとこうあちこち何かと何かといえば何かにつけ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざま

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精選版 日本国語大辞典 「何くれ」の意味・読み・例文・類語

なに‐くれ【何くれ】

〘代名〙
① 雑多な事物を包含的に指示する。あれやこれや。いろいろ。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「染草、なにくれの事、庄々のものどもは、一条殿にもわかちたてまつり給ふ」
② 雑多な事物の中から、それと特定できない一つを、不明のままに指示する。どれそれ。だれそれ。
※栄花(1028‐92頃)かがやく藤壺「此御方の匂ひは、只今あるそら薫物ならねば、もしは何くれの香の香にこそあんなれ」

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