久留米城下図(読み)くるめじようかず

日本歴史地名大系 「久留米城下図」の解説

久留米城下図(天保城下図)
くるめじようかず

成立 天保年間か

解説 本図の原本は所在不明で、「久留米市誌」別冊の写真版が原本扱いされている。久留米城下図は本図と延宝八年のもの(同書所収、延宝城下図)の二枚だけが伝えられている。城域は本丸・二の丸・三の丸・外城からなり、その外側に城下町を囲むように武家屋敷地区が広がる。延宝城下図と比較すると、たびたびの洪水により城の北側と東側の柳原の武家屋敷を廃して空地とし、外城の武家屋敷の一部を廃して郡方・昇方・作事方・道方・検見方・町方・軍製方・武具方の役所や勤番長屋・小人部屋を設け、その西南隅に藩校明善堂と武術稽古所がある。城下町の中にも、外城に最も近い場所に印銭方・使者屋を、下級武士が集住する地域内に獄屋を設けており、延宝以降に各種の役所が整備されたことがうかがえる。寺院は城下町の東のはずれや西の瀬下町一角などに集中しているが、神社はそれぞれの区画の中に一社ずつ設けられており、ともに政治的意図を反映したものと考えられる。城下町の南に設けられた下級武士の屋敷群の中やはずれに、整然とした長屋割の足軽屋敷・御茶方や御台所・御昇方屋敷・御城定番屋敷が設けられているのも延宝図と異なる点である。

複製久留米市史」第二巻の付録

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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