中中に(読み)ナカナカニ

デジタル大辞泉 「中中に」の意味・読み・例文・類語

なかなか‐に【中中に】

[副]
中途半端に。なまじっか。
「―君に恋ひずは比良の浦の海人あまならましを玉藻刈りつつ」〈・二七四三〉
かえって。むしろ。
「―死なば安けむ君が目を見ず久ならばすべなかるべし」〈・三九三四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「中中に」の意味・読み・例文・類語

なかなか‐に【中中に】

〘副〙 物事の状況が不徹底であるさまをとらえ、それに対する主観的な判断の気持をこめて用いる。→なかなか
① (打消疑問の表現を伴って) 中途半端に。なまじっか。中途半端でもどかしくて不満足である気持をこめていう。
万葉(8C後)三・三四三「中々(なかなか)に人とあらずは酒壺になりてしかも酒に染みなむ」
② (仮定の表現を伴って) いっそのこと。むしろ。中途半端なもどかしさからのがれたい気持をこめていう。
※万葉(8C後)一七・三九三四「奈加奈可(ナカナカ)に死なば安けむ君が目を見ず久(ひさ)ならばすべ無かるべし」
[補注]中古以後、一方では形容動詞化し、一方では、「に」を伴わず副詞に用いて意味もいろいろに変わった。さらにそれぞれが「に」「と」を伴ったとみられるので、それらは「なかなか」の項に収めた。

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