両班(読み)ヤンパン

デジタル大辞泉 「両班」の意味・読み・例文・類語

ヤンパン【両班】

《〈朝鮮語〉》朝鮮高麗こうらい、および李氏朝鮮時代の特権的な官僚階級、身分文官東班(文班)、武官西班(武班)に分けられていたのでこの名がある。官位・官職独占世襲し、種々の特権・特典を受けた。ヤンバン

りょう‐はん〔リヤウ‐〕【両班】

両序りょうじょ」に同じ。
ヤンパン(両班)

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精選版 日本国語大辞典 「両班」の意味・読み・例文・類語

りょう‐はん リャウ‥【両班】

〘名〙 (「りょうばん」とも)
空華日用工夫略集‐延文三年(1358)正月四日「余引両班大衆、特往排闥而入」

ヤン‐バン【両班】

〘名〙 ('yaŋ-ban)⸨ヤンパン⸩ 朝鮮、高麗および李氏朝鮮時代の特権的な文武の官僚階級、身分。文官は東班(文班)、武官は西班(武班)に分けられ、官職・官位を独占して、兵役賦役の免除のほか、種々の特権を享受した。りょうはん。
風俗画報‐一〇六号(1896)人事門「貴族 朝鮮にては之れを両班(ヤンバン)といふ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「両班」の意味・わかりやすい解説

両班
やんばん

朝鮮の高麗(こうらい)・李朝(りちょう)時代における文・武の官僚の総称。958年、高麗は文官の一部を科挙によって地方豪族などから登用する制度を実施した。これに伴って中央集権的官僚体制が整備され、文官を文班、武官を武班と称し、あわせて両班とよぶようになった。李朝では文・武の官僚はほとんどが科挙を通じてなるようになり、両班官僚体制がいっそう整備された。両班の多くは地方の地主層でもあり、やがて、彼らの子孫一族も両班とよばれるようになった。両班は力役や軍役の重い負担を免除される特権をもち、中央・地方の支配者として勢力を振るった。彼らは家門の来歴を示す族譜(ぞくふ)をつくり、身分を誇ったが、武班よりも文班が地位が高かった(文官優位)。18世紀後半以降、両班身分制も崩れ、のちには「旦那(だんな)」という程度の意味で使われたが、家系を重んずる韓国では、いまでも両班出身を誇りとする意識が根強い。

[矢澤康祐]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「両班」の解説

両班(ヤンバン)

朝鮮の高麗(こうらい)朝鮮王朝時代の官僚たちに対する歴史的呼称。高麗時代には現職官僚である文官(文班),武官(武班)を総称する言葉として使われたが,朝鮮王朝時代には官僚経験者の子孫をも意味するようになった。両班たちはみずから士族と自称した。朝鮮後期になると役負担を免除されるなどの特権を享受するとともに,科挙受験を独占することになった。両班のなかでは文班の地位が圧倒的に高かったが,18~19世紀には没落するものも多かった。

両班(りょうはん)

両班(ヤンバン)

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旺文社世界史事典 三訂版 「両班」の解説

両班
ヤンバン

朝鮮の高麗および李朝の特権階層
文班と武班の2つをさし,経済的には封建的地主層で,政治的には高級官職を独占世襲し,常民・賤民と厳格に区別されていた。しかし両班は法制的な手続きを経た特権階層ではなく,儒学国家となった李朝時代には,朱子学の受容を担った官僚・知識人およびその家柄として社会的に認定された階層であった。兵役・賦役の免除など種々の特権が生まれ,李朝を通じてこれを維持し,1894年甲午の改革での両班の特権廃止宣言も実効なく,日本統治下になって没落した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「両班」の解説

両班
りょうばん

両序とも。禅院での役職を教学関係の西班(せいばん)衆と経理関係の東班衆にわけてよんだ区分。仏殿・法堂(はっとう)で僧侶が並ぶときの位置に由来する。西班(仏壇に向かって左側)は首座(しゅそ)・書記・知蔵・知客(しか)・知浴・知殿が,東班(右側)は都寺(つうす)・監寺(かんす)・副寺(ふうす)・維那(いのう)・典座(てんぞ)・直歳(しっすい)と並んだ。室町時代には経理や荘園経営を行う東班衆が禅院内で権力を握る傾向にあった。

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普及版 字通 「両班」の読み・字形・画数・意味

【両班】りようはん・やんぱん

朝鮮で文班と武班の二組に分けた家柄。

字通「両」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「両班」の意味・わかりやすい解説

両班
りょうはん

ヤンバン(両班)」のページをご覧ください。

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