三前郷(読み)みさきごう

日本歴史地名大系 「三前郷」の解説

三前郷
みさきごう

近世の郷名。「和名抄」に三前郷がみえるが、両者の関連は明らかでない。徳川氏時代には古座川中流・下流域の古座浦中湊なかみなと村・津荷つが村・西向にしむかい浦・古田ふるた村・神野川このがわ(現古座町)池野口いけのくち村・池野山いけのやま村・高川原たかがわら村・宇津木うつぎ村・月野瀬つきのせ村・高瀬たかせ村・閏野うるの村・なか村・大柳おおやなぎ村・鶴川つるがわ村・一雨いちぶり村・立合たちあい村・立合川たちあいがわ村・相瀬あいせ村・みね村・川口かわぐち村・直見ぬくみ村・日南川ひなたがわ村・蔵土くろづ村・三尾川みとがわ村・南平なべら村・大川おおかわ村と、おお(現西牟婁郡串本町)大島おおしま浦・須江すえ浦・樫野かしの浦の三一村が含まれた(続風土記)

三前郷
みさきごう

「和名抄」高山寺本・東急本とも「三前」と記すが訓はない。他に郷名としてはみえないが、「三代実録」貞観一七年(八七五)一〇月一〇日条に「三前神従五位下」とある。「続風土記」に「今の周参見潮埼佐本三荘、三前七川谷小川谷三郷の地ならん」「三前は御埼にして今の潮埼荘潮御埼より起れる称なり、古の三前郷其境界今詳にしかたし」とあり、郷域未詳としながらも、現西牟婁にしむろ郡すさみ町・串本くしもと町、現東牟婁郡古座こざ町・古座川こざがわ町にあたる地に推定

三前郷
みさきごう

「和名抄」所載の郷。同書高山寺本など諸本とも訓を欠くが、治承四年(一一八〇)五月一一日の皇嘉門院惣処分状(九条家文書)に「しもつさ みさき」とある。中世には三崎みさき庄・三崎郷とみえ、江戸時代には三崎村(現銚子市)として郷名が継承されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報