ロシア憲法(読み)ろしあけんぽう

知恵蔵 「ロシア憲法」の解説

ロシア憲法

1993年12月、国民投票によって採択された。ロシアは民主主義を原理とする立憲国家となったが、まだ憲法が恣意的に解釈されたり、大統領も国民も法を無視するといった状態が続いている。ロシア憲法の主な内容は以下の通り。ロシア連邦あるいはロシアは、三権分立を基礎とする複数政党制の民主主義的な共和国である。国家権力の源泉人民であり、その行使は大統領、議会、政府、裁判所が行う。思想、信条言論の自由、検閲の禁止、親書・通信の秘密その他の基本的人権は保障され、私有国有公有、その他の所有形態は平等に認められる。ロシア連邦は共和国(21)、地方(クライ)(6)、州(49)、連邦的意義を持つ都市(2)、自治州(1)、自治管区(10)、合わせて89の構成主体から成る。ロシア連邦に属する権限は、(1)連邦憲法制定・改正、(2)連邦の領土領海・領空問題、(3)金融・通貨・関税など統一市場の法的整備、(4)連邦予算の策定、(5)エネルギー、運輸・通信、原子力発電、宇宙開発、軍事技術、国防産業、(6)外交、(7)安全保障と国防政策など。ロシア連邦とその構成主体双方に属する権限は、(1)土地天然資源の所有、利用、管理、(2)環境保全、(3)教育学術、文化、(4)保健と社会保障、(5)課税、(6)少数民族問題など。連邦法が構成主体の法に優先し、共和国の主権は認めていない。ウラジーミル・プーチン大統領によって新たな政治制度が提案されたが、これに伴い、憲法改正問題も持ち上がっている。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

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