リスク・アセスメント(読み)リスクアセスメント

百科事典マイペディア 「リスク・アセスメント」の意味・わかりやすい解説

リスク・アセスメント

計画に際してリスクをどのように評価し安全基準を設定しておくかということ。リスク評価。たとえば建設計画などのプロジェクトで,化学物質などが環境に及ぼす危険性がどの程度危険であるかを事前に評価し対策を講じる際に用いられる。事故の危険性をつねに内包するような企業活動についても用いられる。このことばが一般的に用いられるようになったのは〈環境アセスメント〉で,たとえば発癌性が指摘されている化学物質であれば,その化学物質を摂取することによって癌を発症し,死に至る確率によって示される。従来の環境に関する安全基準は,人間の治癒能力を前提にして,有害物が体内に入っても,ある一定量以下ならば安全,それ以上は危険という考え方で,しきい値を設定するものだった。しかし,しきい値のない発癌性物質が多数明らかになったため,従来の安全基準にリスク評価の考え方をとり入れるようになった。中央環境審議会は,1996年9月,発癌性物質による大気汚染についてはリスク・アセスメントの結果に基づいて汚染防止対策を実施するよう環境庁に答申している。鉄道海上輸送空輸など大量の人員を輸送する業務のような,事故に発展する可能性をつねに含む業務の場合,安全性向上確保のために,徹底したリスク・アセスメントが求められる。

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