モササウルス(英語表記)Mosasaurus

デジタル大辞泉 「モササウルス」の意味・読み・例文・類語

モササウルス(〈ラテン〉Mosasaurus)

中生代白亜紀の海に生息した肉食の大形爬虫はちゅう類。ふんが長くワニに似るが、四肢ひれ状。

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改訂新版 世界大百科事典 「モササウルス」の意味・わかりやすい解説

モササウルス
Mosasaurus

有鱗目のトカゲ亜目Lacertilia(=Sauria)に属する巨大な絶滅水生爬虫類。白亜紀の後半に出現し,当時もっとも獰猛(どうもう)な動物であったと思われる。全長は最大で約10m。モササウルス科Mosasauridaeをつくり,その中にはMosasaurusClidastesKolposaurusDollosaurusPrognathosaurusTylosaurusHainosaurusGlobidensなどの属がある。頭骨はトカゲ型で,眼窩(がんか)が大きく,視力はよかったと思われるが,嗅覚はあまり発達していなかったらしい。頭骨の後端に位置している方形骨は中央のくぼむ特徴的な形をなし,頭骨と下顎との結合に重要な位置を占める。歯は円錐形でやや前後に扁平かつ後方に曲がる。歯数はあまり多くない。垂直交換をする。歯冠には縦方向に低い条線が走る。歯根部はラッキョウ形をしており,中空である。顎骨と歯冠との間にみられる歯頸部はややふくらみが強く,特徴となっている。脊椎は同形的で椎体は前凸後凹形。尾は長く,V字骨が発達する。前後肢とも遊泳に適した櫂(かい)状であるが,各骨は全体短い生活圏はかなり広く,さまざまな海域に分布し,200mほどの深さにまで潜水したと考えられている。日本では本州東北地方,北海道などから化石産出している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モササウルス」の意味・わかりやすい解説

モササウルス
もささうるす
mosasaur
[学] Mosasaurus missouriensis

中生代白亜紀後期の、約9960万年~6550万年前に浅海に栄えた肉食の大形海生爬虫類(はちゅうるい)。海トカゲ竜もしくは蒼竜(そうりゅう)ともよばれ、分類上はトカゲ目の一つ。この仲間にはいくつかの属が知られており、モササウルスのほかにティロサウルスTylosaurus、プロトサウルスProtosaurus、クリダステスClidastesなどが著名である。大きさも全長3~15メートルと多様であった。ベルギーやアメリカのカンザス州からの産出が多い。日本でも北海道の函渕(はこぶち)層群や、本州、四国、淡路(あわじ)島の和泉(いずみ)層群で多く報告されている。いずれも性格が凶暴であったようで、下あごやひれに傷跡があったり切断されたりしていることが多い。体や尾の外観はワニ類に似るが、対(つい)の肢(あし)は水かき状のひれを形成し、細長く伸びたあごには鋭い歯を備える。歯は大きく円錐(えんすい)形で丸みを帯びた基部が歯槽(しそう)中に植立する。この歯でかみつかれたアンモナイトの殻といわれた標本が化石として発見されたが、疑問も呈されている。巻き貝による穿孔(せんこう)跡の可能性がある。また19世紀後半にオランダとフランスの間でモササウルスの頭骨を争って法廷沙汰(ざた)となったり、戦争による戦利品とされた話は有名である。

[小畠郁生]

『小畠郁生著『白亜紀の自然史』(1993・東京大学出版会)』

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百科事典マイペディア 「モササウルス」の意味・わかりやすい解説

モササウルス

白亜紀後期の海生爬虫(はちゅう)類。体長約6m。海中生活に完全に適応したトカゲ(ウミトカゲ)ともいえる。大型の細長い体に,櫂(かい)状の四肢を備える。化石は南北アメリカ,ヨーロッパなどから広く見いだされる。

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