マレチェラ(英語表記)Marechera, Dambudzo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マレチェラ」の意味・わかりやすい解説

マレチェラ
Marechera, Dambudzo

[生]1952.6.4. 南ローデシア,ルサペ
[没]1987.8.18. ジンバブエ,ハラレ
ジンバブエの小説家。貧困と暴力,厳しい人種差別の社会で幼年時代を過ごした。ミッションスクールで学ぶが,教育内容をめぐって白人教師と対立。ローデシア大学在学中にモザンビーク解放戦線を支持してデモを組織するなど反政府行動で放校処分を受けた。のちイギリスのオックスフォード大学に留学したが,素行不良と成績不振を理由に放校処分。客員作家としてロンドン大学などで作家修業を積む。アルコール依存症で健康を害し,次いでエイズに罹患し夭折するまでの短期間に小説,戯曲などを発表。小説第1作『飢えの家』The House of Hunger(1978)は,人種差別の暴力をテーマに「意識の流れ」の手法を駆使したもの。幻想と現実が入り混じる九つの物語を組み合わせた本作は 1979年,イギリスの新聞『ガーディアン』の小説部門賞を受賞した。ほかにジェームズ・ジョイスなどとも比較されるアナーキー的(→アナーキズム)な作品『黒い陽光』Black Sunlight(1980)など。死後,評論集『ブラック・インサイダー』The Black Insider(1990)が出版された。死後に評価の高まった典型的作家の一人。(→アフリカ文学

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