マヤプシキ(読み)まやぷしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マヤプシキ」の意味・わかりやすい解説

マヤプシキ
まやぷしき
[学] Sonneratia alba Sm.

ハマザクロ科(APG分類:ミソハギ科)の常緑高木。名は沖縄の方言に由来し、マヤはネコ、プシキはヒルギの意味である。ハマザクロともいうが、これは果実の形がザクロに似ることによる。マングローブの構成種の一つで、海岸や河口の砂泥地に生育する。側根は砂泥中を横走し、それから発するタケノコ状の呼吸根を泥上に林立させ、奇観を呈する。葉は対生し、ほぼ卵形で長さ5~8センチメートル、全縁で質は厚い。花は径約5センチメートル、雄しべは白色で多数ある。果実は扁球(へんきゅう)形で径約3センチメートル。八重山(やえやま)諸島が北限地で、熱帯アジア、オーストラリア、東アフリカに分布する。

 ハマザクロ科Sonneratiaceaeは熱帯のマングローブ林に生育する低木または小高木。アフリカからアジア、太平洋諸島に分布し、2属約10種分布する。

[島袋敬一 2020年8月20日]

 APG分類ではハマザクロ科はミソハギ科に統合された。

[編集部 2020年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マヤプシキ」の意味・わかりやすい解説

マヤプシキ
Sonneratia alba

ハマザクロ科に属し,旧大陸熱帯海岸のマングローブを構成する好塩性常緑高木。オオミノヒルギ,ハマザクロなどとも呼ばれる。日本では沖縄県の西表島に自生があるが小さい。根は海中の泥中を長く走り,ところどころで長さ 1mもの呼吸根をたけのこのように上方へ突き出す。幹は高さ 20mに達する。無柄で長さ 10cm足らずの厚い革質全縁の葉を対生し,葉は表裏区別がない。枝の先端に1~2個の花をつけ,半球形の萼筒があって上部は細く裂ける。赤色の萼筒の内面線形花弁があって,萼の裂け目から糸のように垂れ,黄色のおしべも多数ある。

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