ホルバイン[一族](読み)ホルバイン

百科事典マイペディア 「ホルバイン[一族]」の意味・わかりやすい解説

ホルバイン[一族]【ホルバイン】

ドイツ・ルネサンス期のアウクスブルク画家一族。ハンスHans〔1465ころ-1524〕は,ドイツにおける後期ゴシックからルネサンスへの転換期の重要な画家で,明確な形象と穏やかな色調を特徴とする肖像画,祭壇画を残した。長男のアンブロジウスAmbrosius〔1494ころ-1519ころ〕は,木版画,素描を多く残した。その弟で,父と同名のハンス〔1497ころ-1543〕は,ドイツ・ルネサンスの代表的画家で,特に肖像画家では史上最大の画家の一人に数えられる。初め父のもとで修業し,ブルクマイヤーに師事バーゼルのほか,英国,フランス,イタリアで活動し,1536年以降ロンドンヘンリー8世の宮廷画家として活躍した。肖像画は透徹したリアリズムとドイツ的な深い精神性,端的な性格描写が特色。《旧約聖書》のさし絵や《死の舞踏》(1525年ころ)など,木版画の傑作も残した。代表作に2人の等身大の人物を配した《大使たち》(1533年,ロンドン,ナショナル・ギャラリー蔵)をはじめ,交流のあったトマス・モアエラスムスの肖像,《ヘンリー8世の肖像》(1540年,ローマ,国立美術館蔵),《マイヤー家の聖母子》(1526年ころ,ダルムシュタット城美術館蔵)などがある。
→関連項目ドレスデン国立絵画館

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