日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ペイトン(K. M. Peyton)
ぺいとん
K. M. Peyton
(1929―2023)
イギリスの児童文学作家。本名はキャスリーン・ウェンディ・ペイトンKathleen Wendy Peyton。バーミンガムに生まれ、美術学校を飛び出して結婚したのち、作家としてデビュー。第一次世界大戦を挟んで、馬を交通機関としていたころから大き揺れ動く時代変化を背景に、フランバーズ屋敷にかかわる人々の姿を描いたシリーズ「フランバーズ屋敷の人びと」(1967年『愛の旅だち』、1969年『雲のはて』『めぐりくる夏』、1981年『愛ふたたび』)により、作家としての地位を確立した。変化に富んだ筋立て、ダイナミックな動きの描写が得意。エセックスの自宅で3頭の馬を飼っていたほどの馬好きで、1999年の『ブラインド・ビューティー』に至るまで、馬や馬をとりまく人々を主人公にした作品が多い。
[掛川恭子]
『掛川恭子訳『運命の馬ダークリング』(1994・岩波書店)』▽『掛川恭子訳『フランバーズ屋敷の人びと1 愛の旅だち』『フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて』『フランバーズ屋敷の人びと3 めぐりくる夏』『フランバーズ屋敷の人びと4・5 愛ふたたび(上下)』(岩波少年文庫)』▽『掛川恭子訳『バラの構図』(岩波少年文庫)』