ベータカロチン

精選版 日本国語大辞典 「ベータカロチン」の意味・読み・例文・類語

ベータ‐カロチン

〘名〙 (beta-carotene) 緑黄色野菜に多く含まれるカロチン一つ。生体内でビタミンAに変換。癌予防効果があるとされたが、肺癌発生率が増したとの報告もある。

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百科事典マイペディア 「ベータカロチン」の意味・わかりやすい解説

ベータカロチン

ニンジン,カボチャ,ホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれる栄養素。体内に吸収され,脂肪組織に蓄積される。吸収された一部がビタミンAに変化することから,プロビタミンAとも呼ばれる。 ベータカロチンには,活性酸素の働きを抑制し,細胞膜を正常化したり免疫力を高めたりする抗酸化作用があり,癌(がん),心臓病,骨粗鬆症,老化の予防,ストレスの軽減,疲労回復などに効果が高いとされる。実際に,癌患者は血清中のベータカロチン量が低いという研究報告もある。また,血液中のLDL(low density lipoprotein=低比重リポタンパク悪玉コレステロールとも呼ばれる)が過酸化脂質に変化するのを防ぎ,HDL(high density lipoprotein=高比重リポタンパク。善玉コレステロールとも呼ばれる)を増やす性質もある。 過剰摂取の心配は無用で,手足などが黄色くなる柑皮症(かんしょう)が出ることはあるが,問題はない。ビタミンAの過剰摂取は肝機能に障害をもたらすが,ベータカロチンが必要以上にビタミンAに変換されることもない。 油に溶けると吸収されやすくなる性質をもつので(生のときの5〜7倍),ふだんの食事でじゅうぶん摂取することができる。一度にまとめて摂るよりも,毎日コンスタントに摂取するほうが効果的。天然海藻,緑葉植物,ニンジンなどから抽出したベータカロチンは健康食品としても販売されている。財団法人日本健康・栄養食品協会による健康食品としての基準は,食品1g中にベータカロチン2〜50mgとされている。→ビタミン過剰症

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