柑皮症(読み)かんぴしょう(英語表記)Aurantiasis cutis

精選版 日本国語大辞典 「柑皮症」の意味・読み・例文・類語

かんぴ‐しょう ‥シャウ【柑皮症】

〘名〙 皮膚が黄色くなること。手のひら、足の裏に目だち、かゆみはない。ミカンカボチャトマト海苔などの食べすぎが原因

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デジタル大辞泉 「柑皮症」の意味・読み・例文・類語

かんぴ‐しょう〔‐シヤウ〕【×柑皮症】

柑橘かんきつ類・カボチャ・トマトなどを大量摂取したとき、それに含まれるカロテンが皮膚に沈着して、黄色っぽくなる状態

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六訂版 家庭医学大全科 「柑皮症」の解説

柑皮症
かんぴしょう
Aurantiasis cutis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 柑橘類(かんきつるい)などに多く含まれるカロテン(ビタミンAの前駆物質)の過剰摂取により、皮膚にこの色素が沈着して黄色くなる状態です。

 カロテンは脂溶性(しようせい)なので、高脂血症があると血中カロテン値が上昇しやすくなります。肝臓でカロテンからビタミンAへの転換がうまく行われない場合も、血中カロテン値が上昇して皮膚に沈着しやすくなります。

症状の現れ方

 手指や手のひら、足の裏、鼻翼などの色調が黄色調となります。カロテンは皮膚の角質層や表皮、皮下脂紡織に沈着しやすく、厚い角質層のある手のひら、足の裏がとくに黄色くなります。症状が強いと全身の色調が黄色くなります。

検査・治療の方法

 特別な検査は必要ありません。

 特別な治療を行わなくても、カロテンの摂取量を減らすと皮膚の色調は正常にもどります。

病気に気づいたらどうする

 柑橘類ニンジン、カボチャ、アンズパセリマンゴー、とうもろこしなど、カロテンを多く含む食品の摂取を中止あるいは減量することが大切です。多くの場合は、柑橘類の摂取を減らすだけでよくなります。

 通常医師診察を受ける必要はありませんが、黄疸(おうだん)でも皮膚の色調は黄色くなるので注意が必要です。黄疸があれば肝機能障害が疑われるので、医師の診察を受けます。

 柑皮症では、黄疸でみられる眼球結膜(白眼の部分)の黄変はないので、区別することができます。

堀川 達弥

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家庭医学館 「柑皮症」の解説

かんぴしょう【柑皮症】

 ミカン、ニンジン、トマト、ほうれん草など、カロテン(黄色色素)を多量に含む食品を食べた後、手のひらや足の裏など角質(かくしつ)が厚い部分が黄色くなるものです。
 カロテンは脂肪組織と角質に沈着する性質があるためにおこるのですが、特別の害はありません。球結膜(きゅうけつまく)(白目(しろめ))が黄色くならないことで、黄疸(おうだん)と区別できます。
 カロテン含有食品の摂取を控えれば自然に治ります。
 高脂血症の人は柑皮症がおこりやすくなるので、注意しましょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柑皮症」の意味・わかりやすい解説

柑皮症
かんぴしょう

血中のカロチン濃度が高くなり、手掌や足底が黄色調を帯びる状態をいう。柑橘(かんきつ)類、ニンジン、トマト、ホウレンソウなど、カロチンを多く含む食物を大量摂取したときにみられる。全身が黄色になるのはまれである。子供や菜食主義者に多い。カロチンを含む食物を制限すれば治る。なお、黄疸(おうだん)とは異なり、眼球結膜は正常色である。

[安藤巌夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「柑皮症」の意味・わかりやすい解説

柑皮症 (かんぴしょう)

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世界大百科事典(旧版)内の柑皮症の言及

【黄疸】より

…皮膚,粘膜の黄染は,太陽光線によって比較的明るい場所で確かめる。ビリルビン以外の物質によって皮膚黄染を起こすものに,ミカン,ニンジン,トマトなどを大量摂取したときの柑皮症,あるいはカロチン血症があり,またルチン,アテブリンなどの色素によっても手のひら,足のうらが黄染することがある。したがって,黄疸の診断を確定するためには,血清ビリルビンを測定して,その増加を確かめる必要がある。…

【汗腺】より

…【山内 昭雄】
【汗腺の病気】
 精神性発汗で異常に発汗するものを掌蹠多汗症といい,指先や手掌,足底の皮がうすくむける状態を汗疱という。かんきつ類を多量に食べる人はその色素成分であるカロチンが汗とともに排出され,手掌,足底が黄染することがあり,柑皮症auvantiasisという。いわゆる〈あせも〉は発汗が誘因となっておこる汗疹およびこれが湿疹化したものをいい,〈あせものより〉は多発性汗腺膿瘍といい,汗疹に細菌感染したものである。…

※「柑皮症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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