フレンケル欠陥(読み)フレンケルケッカン

化学辞典 第2版 「フレンケル欠陥」の解説

フレンケル欠陥
フレンケルケッカン
Frenkel defect

格子欠陥一種.正規の結晶格子点にある原子またはイオンを取り除き,これを格子間の位置に割り込ませてつくられる空格子点格子間原子あるいは格子間イオンからなる一対の化学量論的欠陥である.この種の欠陥は,陽イオン陰イオンの大きさがいちじるしく異なるときできやすい.陽イオンは,一般に陰イオンより小さいので格子間に入りやすい.小さな陽イオンは分極作用が強く,大きな陰イオンは分極されやすいので,これらの化合物はいくらか共有結合的性格をもつ.このイオンのゆがみ,および同種電荷の接近のため,高い誘電率が生じる.低い配位数の化合物では,結合力が弱く格子の規則性が破壊されやすいのでフレンケル欠陥を生じやすい.代表的な例はZnSとAgBrである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「フレンケル欠陥」の解説

フレンケル欠陥【Frenkel defect】

結晶の中で,イオンが正規の格子点から出て,近くの格子間位置に入り込んだ状態の格子欠陥のことをいう.この格子間イオンが結晶表面にまで移動してしまうと,後に空孔だけが残るが,これはショットキー欠陥*と呼ばれる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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