出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ヒドロ虫綱ヒドラ科Hydridaeに属する腔腸動物(刺胞動物)の総称。名は,ギリシア神話の多頭の水蛇ヒュドラにちなむ。淡水産で日本各地の池や沼などにすみ,水中の枯葉,枯枝,水草などに付着している。体は高さ5~15mmの細長い円筒形で,前方の口をとり巻いて6~8本の触手がならんでいる。ふつう黄褐色であるが,食物や共生している藻類によって変化することもある。口から胃腔に続くが,肛門がないので,不消化物は再び口からだされる。雌雄異体または同体で,雌雄による有性生殖と出芽による無性生殖を行うが,クラゲをつくることはない。また有性生殖の時期は種類によって異なる。触手には多くの刺胞があり,ミジンコなどの餌に刺糸(しし)を発射して毒液を注入してとらえ口へ運ぶ。足盤と触手とを交互に物に付着させながら移動する。日本では数種のヒドラが知られていて,ヌマヒドラHydra paludicolaやチクビヒドラH.magnipapillataは各地に広く分布し,ヒメヒドラH.parvaは関東以北,エヒドラPelmatohydra robustaは東北地方以北に分布している。
執筆者:今島 実
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… 以上のような失われた部分を復元する修復再生に対し,生理的再生といわれ,表皮や消化管の粘膜上皮や血球などのように,個体の維持のためにつねに行われている再生の過程がある。この再生様式をとることで知られる最も下等な動物ヒドラでは,口部直下の部域より,内外2層のみの体壁にそって細胞が上下に流れ続けており,上方では触角の先端部,下方では基部の中心に達したものから順に脱落していく(図3)。同様の現象が,脊椎動物に至るまで,内外両胚葉の上皮組織に広くみられるということは,生理的再生の過程が多細胞体制の本質に深くかかわるものであることを物語っている。…
…教育の才能をみこまれて貴族の息子の家庭教師となり,その成人後に十分な退職金をもらい,スイスにもどった。彼は教育,政治,宗教などに関する著作を多く書いているが,ヒドラの再生実験を行ったことで有名である。一匹のヒドラを切り離してばらばらにしても,それぞれの部分から再び成体が形成される事実の発見は,当時の発生学論争において,後成説を支持する有力な証拠とみなされた。…
※「ヒドラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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