パイヤール(英語表記)Jean-François Paillard

改訂新版 世界大百科事典 「パイヤール」の意味・わかりやすい解説

パイヤール
Jean-François Paillard
生没年:1928-

フランスの指揮者。数学を学んだ後,パリザルツブルクで音楽学と指揮法を学ぶ。1953年,18世紀のバイオリン奏者の名を冠したジャンマリー・ルクレール合奏団を結成し,とくに17~18世紀フランス音楽の演奏,紹介に努める。同楽団は59年にパイヤール室内管弦楽団と改称し,ときに現代作品をも手がけながら,国際的な演奏活動を継続した。17~18世紀音楽の再評価に果たしたパイヤールの貢献は,同時代の研究が一段と進んだ現在でも,その意義を失っていない。楽譜集の刊行や著作も行い,主著に《フランス古典主義音楽》(1960。邦訳1961)がある。日本にも来日し矢代秋雄編曲の《日本の調べ》などの録音も行っている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パイヤール」の意味・わかりやすい解説

パイヤール
ぱいやーる
Jean-François Paillard
(1928― )

フランスの指揮者。ソルボンヌで数学を学んだあと、パリ音楽院でデュフルクに音楽学を、またザルツブルク・モーツァルテウムでマルケビッチに指揮法を学んだ。1953年にジャン・マリ・ルクレール器楽アンサンブルを創設し、59年にはそれをジャン・フランソア・パイヤール室内合奏団と改称して、その指揮者として幅広い活動を行っている。レパートリーは、17、8世紀のバロック音楽を中心に、古典派から現代に至るまでの広い範囲に及んでいるが、とくに、これまであまり知られていなかったバロックのフランス音楽を積極的に紹介した意義は大きい。そのフランス・バロック音楽を扱った書『フランス古典音楽』(1960)の著者としても知られる。68年(昭和43)初来日。

[今谷和徳]

『渡辺和夫訳『フランス古典音楽』(白水社・文庫クセジュ)』

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