ノナン

化学辞典 第2版 「ノナン」の解説

ノナン
ノナン
nonane

C9H20(128.26).CH3(CH2)7CH3.脂肪族飽和炭化水素(アルカン)の一つ.炭素数9のアルカンには,現在までに物理定数の知られている構造異性体が35種類存在する.これら異性体の総称として用いられる場合もあるが,このうち直鎖状のものをとくにノナンという.n-ノナンとよぶことも多い.原油中に存在する.製法は,実験室的には,ノナン酸ヨウ化水素リンとともに加熱するか,C9 不飽和炭化水素を水素化すると得られる.工業的には,ナフサから分留する.甘い芳香を有する無色液体.融点-53.52 ℃,沸点150.80 ℃.0.71381.1.40311.爆発範囲(下限)0.83体積%.エタノール可溶,水に不溶.有機合成原料として用いられる.[CAS 111-84-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノナン」の意味・わかりやすい解説

ノナン
のなん
nonane

アルカンに属する炭素数9個の炭化水素の総称。直鎖状のノナン(n-ノナン)とその異性体をさす。n-ノナンは石油中に産出する。無色の甘い香りの液体。有機溶媒に可溶。有機合成原料となる。現在までに理論上可能な構造異性体35すべてが既知化合物である。

[佐藤武雄・廣田 穰 2015年3月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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