チョウセンニンジン(朝鮮人参)(読み)チョウセンニンジン(英語表記)Panax schinseng; ginseng

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

チョウセンニンジン(朝鮮人参)
チョウセンニンジン
Panax schinseng; ginseng

ウコギ科多年草。中国,朝鮮半島に分布し,森林下に生えるが現在は薬用植物として畑で栽培される。日本でも享保年間 (1716~36) 頃から栽培されている。短い根茎が直立または斜上し,その下端から白色多肉の直根が出る。根は先端部で分枝することが多い。根茎から1本の直立する茎が伸び高さ 60cmほどになる。葉は5枚の小葉から成る掌状複葉で,茎の頂部に3~4枚が輪生する。夏に,茎の頂部から1本の花軸を出し,頂部に散形花序をなして多数の淡黄緑色5弁の小花をつける。果実は扁球形で赤色に熟する。根に数種の配糖体や脂肪酸が含まれ,神経衰弱貧血性欲減退などに薬効がある。普通煎液,滲出液の1~10gを1日量として飲用する。和名は産地による名で,オタネニンジン別名もある。日本の山地にも同属の近縁種トチバニンジン (栃葉人参)があり,また北アメリカにはアメリカニンジン P. quinquefoliumがあって,どちらも根茎を本種の代用とする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア の解説

チョウセンニンジン(朝鮮人参)【チョウセンニンジン】

オタネニンジンとも。朝鮮半島・中国原産のウコギ科の多年草。高さ60cm内外。根は白色の直根で,葉は長柄があり,5枚の小葉からなる掌状複葉。夏,茎頂に散形花序を出し,淡黄色の花を密につける。果実は赤熟する。4〜7年生の根をせんじ薬,ニンジンエキスとして滋養,強壮薬,強精薬など多様に用いられる。朝鮮半島が主産地だが,日本では福島・長野・島根県などで栽培。
→関連項目奇応丸

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版 の解説

チョウセンニンジン【チョウセンニンジン(朝鮮人参) Asiatic ginseng】

根を薬用とすることで著名なウコギ科の多年草。ヤクヨウニンジン(薬用人参)とも呼ばれ,江戸幕府薬園に栽培したのでオタネニンジン(御種人参)ともいう。また単にニンジンともいうが,野菜のニンジン(人参)とはまったく別種である。年数を経たものは草丈約60cmとなり,茎の頂部に長い葉柄をもち,5小葉からなる掌状葉を4~6枚輪生する。夏季,茎頂から1本の細長い花茎をのばし,先端の散形花序に淡黄緑色の小さい花をつける。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のチョウセンニンジン(朝鮮人参)の言及

【田村藍水】より

…15歳で医学を学び,本草を阿部将翁(?‐1753)に学ぶ。早くからチョウセンニンジンに関心をもち,1737年(元文2)幕府から種子を下付され,栽培を試みる。63年(宝暦13)幕府の医官に任ぜられ,国産ニンジンの栽培,製薬に当たる。…

【日朝貿易】より

…そこで対馬藩では,私貿易経営に重点をおき,1683年(天和3)専任担当官として元方役(もとかたやく)10名を組織し,利潤の向上につとめた。貿易内容は,封進・公貿易が銅,スズ,コショウ,ミョウバン,蘇木,水牛角を定品として輸出していたのに対し,私貿易は,隆盛するにしたがって大量の銀が輸出され,代りに中国産の生糸(白糸),絹織物,チョウセンニンジンが輸入されるようになった。この中国産品は,朝鮮が毎年中国へ派遣する朝貢使節がもたらすもので,日本の銀(倭銀)はその対価として,朝鮮から中国へ再輸出された。…

【人参座】より

…江戸幕府が薬用人参の売買統制のために設置した座。薬用人参は18世紀半ばまでは輸入がほとんどで,朝鮮人参と唐人参があった。朝鮮人参は対馬藩が独占的に輸入販売し,江戸屋敷での屋敷売りのほか,1673年(延宝1)人参座を設け座売りもした。18世紀以後の輸入不振によりやがて廃止。長崎の唐人参の輸入は17世紀後半に始まり,1735年(享保20)江戸長崎屋源右衛門に唐人参座が許可され,1860年(万延1)江戸長崎会所と改称されるまで存続。…

【薬用植物】より

… また,従来無用とされていた植物でも,化学成分が明らかにされた結果,薬用植物の仲間入りをするものがある。例えばアマチャヅル(ウリ科)はオタネニンジン(チョウセンニンジン,ウコギ科)と同類の成分を含むことが判明し,茶剤として薬用製品化された。また類似した形態を有するヤブカラシ(ブドウ科)は,このアマチャヅルと誤認されやすいため偽物が出回っているという。…

※「チョウセンニンジン(朝鮮人参)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

破壊措置命令

弾道ミサイルなどが日本に飛来・落下する恐れのある場合に、それを破壊するよう防衛大臣が自衛隊に命じること。弾道ミサイル破壊措置命令。[補説]原則として内閣総理大臣の承認を得た上で行われるが、事態の急変な...

破壊措置命令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android