ステゴドン(英語表記)Stegodon

デジタル大辞泉 「ステゴドン」の意味・読み・例文・類語

ステゴドン(〈ラテン〉Stegodon)

鮮新世更新世に栄えた大形の象。現在の象とマストドンとの中間型で、化石東アジアアフリカ日本から産出

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精選版 日本国語大辞典 「ステゴドン」の意味・読み・例文・類語

ステゴドン

〘名〙 (stegodon) 新生代の鮮新世から更新世にかけてインドミャンマー中国、日本にかけて栄えていた、長鼻目の化石獣。体高は二~三メートル。体形は現在のゾウ大差はないが、臼歯(きゅうし)発達特徴。進化上、現在のゾウやマンモス祖先に当たる。日本でも各地発掘

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改訂新版 世界大百科事典 「ステゴドン」の意味・わかりやすい解説

ステゴドン
Stegodon

長鼻類ステゴドン科の1属。化石ゾウの1グループで,臼歯の形態が,屋根状の稜があることによって特徴づけられ,屋根を意味するギリシア語のステゴスと歯を意味するオドントスから名づけられた。1857年にファルコナーH.Falconerが命名。500万年前の鮮新世から更新世にかけて東および東南アジア,インド,イスラエルに分布し,アジア以外からは知られていない(アフリカ産とされるものは別属のもの)。小型のものから大型のものまで各種各様のものがあるが,頭骨の頂部が平たんで,前面が逆三角形,左右のきばが平行に直に突出しているという共通性がある。鮮新世前期のインドのガネッサゾウS.ganesaや中国のコウガゾウ(黄河象)S.humghoemsisはきわめて大きく,肩高が3m,きばの長さは2.5mもあった。日本の同時代のエレファントイデスゾウS.cf.elephantoidesやボンビフロンスゾウS.cf.bombifronsも大型であり,インドやミャンマーにいたものと近縁とされている。更新世前期のアカシゾウ(明石象)S.(=Parastegodonakashiensisは,化石として瀬戸内海の海底や周辺地域でたくさん発見されているが,肩高2mぐらいで,きばも1.5mぐらいの長さである。セレベス,フロレス,ミンダナオ,ルソンの各島で発見されているステゴドンでは,成獣でも肩高1.2mしかない矮小型のものが知られ,島で孤立した集団をつくっていたためとされている。更新世中期のトウヨウゾウ(東洋象)S.orientalisは,東南アジア,中国中部,台湾と分布が広く,岩手県以南の日本各地でも化石が知られている。中型ないし大型のゾウで,東南アジアでは,ジャイアントパンダ,オランウータンなどをともなうことが多く,そうした組合せはステゴドン-ジャイアントパンダ動物群(または万県(ワンシエン)動物群)とよばれている。1804年(文化1)に,琵琶湖の西岸にある滋賀県大津市堅田の南庄で発見され,竜骨として有名になったのは,このトウヨウゾウの化石であり,82年にドイツ人E.ナウマンによってステゴドンの1種として記載された。ステゴドンは,温暖な気候のもとでの森林生活者とされる。
ゾウ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステゴドン」の意味・わかりやすい解説

ステゴドン
Stegodon

長鼻目ステゴドン科の大型化石ゾウ。屋根型の低い稜をもつ臼歯を特徴とする。マストドンとエレファスの中間に位置し,二生歯性から一生歯性への過渡的段階にあるが,エレファスと平行して進化したもののようである。東アジアからアフリカの新第三紀鮮新世,第四紀更新世中期の地層に分布する。日本で発掘されたアカシゾウ,シナゾウ,スギヤマゾウ,トウヨウゾウなどがこれに属する。

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百科事典マイペディア 「ステゴドン」の意味・わかりやすい解説

ステゴドン

鮮新世更新世中期に東南アジアで栄えた一群のゾウ。マストドンから進化したもので,インド,ミャンマー,中国,日本にかけて分布。化石は東京付近など日本各地で発見された。肩高2〜3m,頭骨のたけが高く,上顎の牙は長くて湾曲。下顎は短くて牙をもたず,臼歯(きゅうし)は前後に長い。咀嚼(そしゃく)面の稜線は5〜14。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ステゴドン」の解説

ステゴドン

長鼻目ステゴドン科の象で,大型から小型のものまで各種が知られ,鮮新世から更新世にかけて東アジアおよびアフリカに分布。日本では東洋象・明石象などが知られ,前期更新世から中期更新世にかけて各地に広く生息していた。

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世界大百科事典(旧版)内のステゴドンの言及

【長鼻類】より

…中新世~更新世に広く分布したマンムト科(マンムトまたはアメリカマストドンMammut,ジゴロフォドンZygolophodon)は前科に似てしばしば同科とされるが臼歯の乳頭状突起が横列を形成する。中新世に現れたゾウ科(ステゴドンStegodon,マンモスMammuthus,現生のゾウ)は下のきばを欠き,臼歯の歯冠部が高く,咬面に多数の横畝があり,草その他の硬い植物を食べるのに適する。 アフリカの始新世~漸新世のバリテリウム科(バリテリウムBarytherium)は下の切歯が大きく,臼歯がメリテリウムに似るが,化石が貧弱で詳しいことがわからない。…

【鮮新世】より

…新生代第三紀の最後の部分で,約500万年前から200万年前までの時代。鮮新世の生物には現在生息している種類が多いが,哺乳類では三趾馬のヒッパリオンや長鼻類のステゴドンなど絶滅したものも少なくない。原始人類とされるラマピテクスはこの時代に生存した。…

【長鼻類】より

…中新世~更新世に広く分布したマンムト科(マンムトまたはアメリカマストドンMammut,ジゴロフォドンZygolophodon)は前科に似てしばしば同科とされるが臼歯の乳頭状突起が横列を形成する。中新世に現れたゾウ科(ステゴドンStegodon,マンモスMammuthus,現生のゾウ)は下のきばを欠き,臼歯の歯冠部が高く,咬面に多数の横畝があり,草その他の硬い植物を食べるのに適する。 アフリカの始新世~漸新世のバリテリウム科(バリテリウムBarytherium)は下の切歯が大きく,臼歯がメリテリウムに似るが,化石が貧弱で詳しいことがわからない。…

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