サンパトリツィオの井戸(読み)サンパトリツィオノイド

デジタル大辞泉 「サンパトリツィオの井戸」の意味・読み・例文・類語

サンパトリツィオ‐の‐いど〔‐ゐど〕【サンパトリツィオの井戸】

Pozzo di San Patrizio》イタリア中部、ウンブリア州の都市オルビエートにある井戸。16世紀のローマ略奪の際、同地に逃れてきたローマ教皇クレメンス7世により水源確保のためにつくられた。深さ62メートルの井戸で、上りと下りが別々の二重螺旋らせん状の階段が設けられている。

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世界の観光地名がわかる事典 「サンパトリツィオの井戸」の解説

サンパトリツィオのいど【サンパトリツィオの井戸】

イタリアの首都ローマからユーロスター新幹線)で1時間ほどの、「世界一美しい丘上都市」とも呼ばれるオルビエート(Orvieto)の市街にある井戸。この井戸は1528~1537年にかけて、ローマ教皇クレメンス7世(在位1523~1534年)の命を受けた建築家アントニオ ・ド・サンガッロによってつくられた。直径13m、深さ62mの巨大な井戸で、248段の螺旋(らせん)階段があり、当時は皮袋を下げたラバを使い水を汲み出していたといわれる。この井戸の建設が始まる前年、神聖ローマ帝国によるイタリア侵攻があり、ローマのサンタンジェロ城に立て篭もった教皇は敗北し、略奪(いわゆるローマ強奪)が起こっている。オルビエートは丘の上にあるため、包囲攻撃で水を絶たれるのは死活問題であり、その対策として井戸の建設を命じたといわれている。

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