グレートトレック(英語表記)Great Trek

改訂新版 世界大百科事典 「グレートトレック」の意味・わかりやすい解説

グレート・トレック
Great Trek

19世紀前半,イギリスによる南アフリカケープ植民地支配を逃れた多くのボーア人北方への内陸大移動のこと。1806年のイギリスのケープ占領の結果,イギリス化政策に反対したボーア人は34年まず三つの偵察隊を派遣し,その報告に基づき,35年トリハルト,ファン・レンスブルグに率いられた一行が家財道具いっさいを積んだ幌牛車で北に向かったが,リンポポ川付近で遭難した。次いで36年ポトヒェーターら一行が出発し,途中ヌデベレ族と戦い,バール川とオレンジ川の北方に定着した。ナタールに向かったレティーフらはズールー族との戦いに敗れ,あとを継いだA.プレトリウスは38年12月の血の河の戦で勝ち,ナタール共和国をつくった。しかし,イギリスは42年軍隊を派遣して共和国を滅ぼした。ナタールを脱したボーア人はオレンジ川以北に定着したボーア人と合流した。イギリスはこれらも支配しようとしたが,ボーア人の反抗とバスト族などの抵抗にあい,52年サンド・リバー協定によってバール川以北にトランスバール共和国が,54年にはブルームフォンテーン協定によってオレンジ自由国が建国された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報