ナタール共和国(読み)ナタールきょうわこく

改訂新版 世界大百科事典 「ナタール共和国」の意味・わかりやすい解説

ナタール共和国 (ナタールきょうわこく)

19世紀半ば,南アフリカのインド洋側にボーア人が建てた国。現在は南アフリカ共和国ナタールNatal州となっている。1835年からのボーア人の内陸への大移動(グレート・トレック)の結果,ナタールに移動したボーア人は38年の血の河の戦でズールー族を破り,ナタール共和国を建国した。しかしボーア人に対し海への出口をふさぐため,イギリスは42年軍隊を送って共和国を攻撃し,翌年共和国は降伏,45年にはケープ植民地一州となった。56年にケープ植民地から分離して独立の植民地となり,責任政府が与えられた。原住民相T.シェプストンはナタールに初めて原住民指定地制度を導入し,アフリカ人に小舎税を課して植民地の財源とした。60年には海岸のサトウキビプランテーションに大量のインド人契約労働者が移入された。99年からの第2次ボーア戦争ではケープ植民地と同盟を結び,ボーア人共和国と戦った。戦後,植民地間の連邦結成の動きが起こり,1910年の南ア連邦結成とともにナタールもその一州に組み込まれた。
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旺文社世界史事典 三訂版 「ナタール共和国」の解説

ナタール共和国
ナタールきょうわこく
Republic of Natal

1840〜1902
トランスヴァール共和国・オレンジ自由国と並ぶブーア人の国家
ケープ植民地を追われたブーア人は内陸に大移動して,共和国を建設した。1843年にイギリスに併合されたが,93年に再び完全自治権を得た。しかし南ア戦争でイギリスに合併され,1910年南アフリカ連邦の一州となった。

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