日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グレアム(Kenneth Grahame)
ぐれあむ
Kenneth Grahame
(1859―1932)
イギリスの児童文学作家、エッセイスト。スコットランドのエジンバラに弁護士の子として生まれる。幼いときに母親を亡くし、祖母に引き取られて、テムズ川の川辺で2年間を過ごす。大学には進めず、銀行員として働くかたわら、5人の孤児の日常生活を描いた『黄金時代』(1895)などを発表、好評で迎えられる。ひとり息子のアラステアに話して聞かせた物語をまとめたものが『たのしい川べ』(1908)で、川辺にすむ小動物たちを愛情こめてユーモラスに描いたこの作品は、子供から大人まで広く愛され、20世紀の古典となっている。のちA・A・ミルンによって劇化され、いっそう子供に親しまれるものとなった。
[八木田宜子]
『石井桃子訳『たのしい川べ――ヒキガエルの冒険』(1963・岩波書店)』