キンランチョウ(読み)きんらんちょう(英語表記)red bishop

改訂新版 世界大百科事典 「キンランチョウ」の意味・わかりやすい解説

キンランチョウ (金蘭鳥)
red-bishop
Euplectes orix

スズメ目ハタオリドリ科の鳥。スズメより小さく,全長約13cm。雌雄異色。雄の生殖羽は全体に赤みの強いオレンジ色で,顔と腹部は黒く,翼と尾は褐色。後頸(こうけい)に襟巻状のオレンジ色の飾羽がある。非生殖羽の雄と雌は似ており,淡黄褐色に暗色の縦斑が散在している。サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布している。水辺草原に多く,草の種子を食べる。農耕地に大群で現れ,穀物に大害を与えることがある。草地やヨシ原に集団で繁殖するが,その中で雄は強いなわばり性を示し,首の飾羽を逆立て,羽音を立てて空中停止をしながらディスプレーをする。一夫多妻で,雄は2~4羽の雌を一つのなわばりの中へとり込む。卵型の巣をつくり,1腹2~4個の卵を産む。非繁殖期には大群でヨシ原で眠る。姿が美しいので飼鳥として輸入されるが,飼育はむずかしい。禽舎きんしや)に庭木を植えて飼うとよく繁殖する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンランチョウ」の意味・わかりやすい解説

キンランチョウ
きんらんちょう / 金襴鳥
red bishop
[学] Euplectes orix

鳥綱スズメ目ハタオリドリ科の鳥。同科キンランチョウ属17種中の1種。全長12センチメートル。繁殖期の雄は頸部(けいぶ)と腰に赤黄色の美しい飾り羽を生じるが、老鳥ほどその色が濃くなる。その飾り羽が金襴緞子(きんらんどんす)を連想させるのでこの名がある。頭部、腹の上部、体側は黒色。雌と非繁殖期の雄はじみな淡褐色である。セネガルスーダン以南のアフリカ一帯に分布し、草本の種子、漿果(しょうか)のほか、小動物なども捕食する。5亜種に分類されているが、普通、キンランチョウとよばれるのはセネガル、ソマリア、スーダン、エチオピアケニアに生息する亜種をさす。元気な鳥であるから禽舎(きんしゃ)で飼うのもよいが、日本への輸入は多くはない。繁殖期の雄の赤黄色がさらに濃く、鮮やかな紅褐色を呈するオオキンランチョウ同種で、アンゴラナミビア、ローデシア地方、南アフリカ共和国などに生息する亜種である。これも日本への輸入は少ない。

[坂根 干]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キンランチョウ」の意味・わかりやすい解説

キンランチョウ

オオキンランチョウ」のページをご覧ください。

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